いやになるくらいの紙束に囲まれて、私はペンをひたすら走らせる。部屋に缶詰めでデスクワークばっかりな日々。最近はずっとこんな調子だ。ベルやレヴィなんかはさ外にかり出されてばっか。私だってそっちのほうが得意なのに!まぁ、でも、あの二人にはデスクワークは任せられないか。ルッス姐さんが淹れてくれた紅茶を飲みながら紙面と必死の格闘。ああ、だめだ、本気で死ぬ。紙に殺される。てか、誰にも見張られてないんだからちょっとくらい休んでも…無理だ。ボスが許さない。遅いと言って殴られる!それだけは嫌。ボスの見えないところからのプレッシャーのおかげで最後の一枚を書き上げた。
よっしゃ、あとはボスとスクアーロに渡して終わりだ!この後はとりあえず外に出よう。行くあてなんかないけど、とりあえず外に出よう。足取り軽くボスの部屋に向かった。機嫌が悪くなる前にちゃっちゃっと書類を提出して部屋を出た。何も飛んでこなかった!今日はついてる!

もう一つの書類が詰まった茶色の封筒を抱きかかえ、スクアーロがいる部屋に気分爽快で走っていった。


「スクアーロ!」


ノックもそこそこ、直ぐにドアを開け放つ。スクアーロはたいして驚いた様子もなく、机から私を見た。


「はい、これ」


封筒を受け取ると、中身を取り出して書類をパラパラを一通り目を通した。私の頑張りがあんな一瞬にして終わるなんて。


「ん、上出来だぁ」


スクアーロの一言を聞いて、今までのデスクワークという閉塞感から一気に解放された気になる。私はこの後フリーだ!


「じゃ、お疲れさま!」

「ちょっと待てぇ」


いざ外に飛び出そうっていうときに、がっしり頭を掴まれた。また仕事を追加されたら辞めてやる。私は本気でそれを覚悟した。


「どこ行くんだ?」

「外」

「どこの」

「とりあえず外」


はあ、とスクアーロのため息がもれる。なんだそのバカを哀れむような顔は。


「この後フリーだろ」

「…うん」

「なら、飯でも行くかぁ」


すっと手を離され、スクアーロは隊服のコートを脱ぎ捨ててそこらへんにあったジャッケットを羽織る。それだけでかっこいい男の出来上がり。


「ここ最近のデスクワーク頑張った褒美だぁ。姫の好きなとこ連れてってやる」


スクアーロは机の引き出しから車のキーを取り出し、キラリと見せつけた。つまり、スクアーロの運転付き。私はつい頬が緩んでいく。


「うんっ」


それだけ言ったら、もう十分。これから贅沢な一時が始まるから。


liberation
(隊長!とりあえずバイク希望です!)
(…わかった)



090508

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