第2話終了後
それは、歌川との仮契約が成立した日の昼ごろ。
「ふぅ…一時はどうなるかと思ったな」
白いリビングに芳しい香りが充満する。
それを胸いっぱいに吸い込み、北城はコーヒーを一口すすった。
日常生活用のリビングには住人が全員集まっており、それぞれのんびりと過ごしている。
斉藤と姫路はテーブルを挟んで談笑
東雲と赤羽は無口同志でトランプに興じている。
夢羽は今日の調理当番の雛穂と共に朝食の後片付けをしていた。
ここにいる画家は全部で7人。それも今日から8人になるのだ。
それぞれ訳あってここに住み込んでいる面子とは違い、
黒いジャージを着た目つきの悪い彼は通う事にしたらしいが。
そんな彼の戦い方をその目で見た北城は、その情景を思い出しほくそ笑んだ。
まずは彼が思う以上に良い動きをすること
そしてラッカーの習性を理解したうえで、何かしらの危機感を感じたらしいこと。
それが彼が画家になることを承諾した理由だろう。
だが、昨日のように武器が血に反応しないなんてことがあっては困る。
(血はいつでも反応するわけじゃない。それなりの意思や必要性がないと…歌川はそれをまだ知らないだろうな)
北城は心の中でため息をつく。
昨日、歌川と任務に出た際のことだ。
一昨日は歌川の血に反応を示したらしい彼の靴が、その日は反応しなかった。
そのときは言わなかったが北城は原因を理解していた。
それは、歌川に戦う意志が欠けていたこと。
きっと彼は乗り気ではなかったのだろう。
ずっと行きたくないとぼやいていたし。
だが、やらなければならないと意を決してからは靴は反応してくれた。
北城が歌川の足を撃ったときがまさにそれだ。
どれにしろ、これから画家として活動するなら慣れてもらわないとな。
北城はもう一度マグカップに口をつけた。
[*prev] [next#]
戻る