真っ白に晴れた昼下がり。
どんどん人気の少なくなっていく路地裏に、ローファーとローラースケートの音が響いた。

「おい、どこまで行くんだよ?」

「もうすぐだから。それよりあなたの靴うるさい」

「文句ならメーカーに言え」

右に左になびく黒髪を見ながら俺はかすかに毒を吐いた。
この同じクラスの女子、雛穂について歩いて早数十分。

俺に会わせたい人たちがいるからって言われて、俺も暇だからとりあえずこうしてついてってるわけだけど
その会わせたい人たちって誰なんだ。そんな素朴な疑問をぶつけてみても「つけばわかるから」の一点張り。
もったいぶらずに言えば良いのに。

(なんだってこんな事に…)

本日何回目か、俺は呆れのため息をついた。
…俺はゲームの主人公にでもなっちまったんだろうか。

「立ち入り禁止」の区域に面白半分で入り、そりゃあ見るからにやばそうな生物に襲われ
そこをクラスメイトの女子に助けられ何だかんだ協力することになって敵を全滅。
この後に学校に行った事はマジで失敗だと思う。なんで行ったんだ、俺。

それでさっき言ったように今度は誰かに俺を会わせたいんだとか。
とりあえずここまでで言えるのは、怪しい雰囲気しかしないってことだ。
あんな非日常の塊と遭遇してしまった以上、何が起きてもおかしくない。
生きて帰れるか若干心配になりながら進んでいると、雛穂が足を止めた。

「ついたわ、ここよ」

路地裏をでて明るい通りに出る。
すっかり空き地ばかりになっている過疎ともいえるその区域に、一軒の白い家が建っていた。
ペンキで真っ白に塗られたその家は普通ではあるけど、一般的なものよりは少し大きく見える。

「意外と普通…だな?」

「どんなの想像してたのよ」

玄関に入り、靴を脱いで上がる。
内装もこれといっておかしなところはない。
どこにでもありそうな普通の家だ。

ってことはこいつの家なのかもしれない。結構良いトコ住んでるんだな。
廊下を進んで突き当たりにある扉を開ければ待ち構えていたのはリビング。
俺ん家のよりやっぱり広めだ。

机、ソファ、テレビ、棚、キッチン、その他もろもろ。
生活感はあるのに、それにしてはガランとしている。
玄関にはそれなりの数の靴があったがリビングに人はいなかった。ってことは二階か?

「…ここ、お前の家か?」

「そんなトコね。秘密基地に連れて行かれるとでも思ってた?」

「…まぁ。」


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