??? side
いつも通り水汲みをしに行った帰り、見慣れない人間と遭遇した。
眠っているようだったから、初めは遭難者かと思った。
ところがそいつはすぐに目を覚まして、こっちをきょとんと見上げて。
あの男が何者なのかは知らない。
だけど、あの道を通ってたどり着くのはうちの村くらいなものだ。
もう誰も残っちゃ居ない村に来るなんてどうかしてる。
もう最後に人間の来客があったのはいつだろうか。
それは忘れてしまったけど、これだけは鮮明に覚えている。
あの悪夢が突然訪れた時の事は。
「あ、おかえり」
「隠れろ、ジャンタ!!」
「え?」
あの男から逃げるように帰宅し、まずは弟に隠れるように指示した。
もちろん弟のジャンタはなんのこっちゃわかってない様子だ。
だけど、今は事情なんてものはどうでもいい。身の安全を確保すべきだ。
あの得体の知れない男からジャンタだけは守らなければ。
「おーいっ」
何とかジャンタが物陰に隠れたのを確認した時、背後からさっきの声がした。
振り返ればやっぱりさっきの男で。走って追いかけてきたのか、息を切らしている。
「何で逃げんの、俺別に怪しいもんじゃ…」
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