俺たちのあまりの騒ぎように、ついていけない、とでも言うかのようにため息を……なんて思ったら。
「アハハッ、変なの」
キュオは口元に手を当ててくすくすと笑った。
その途端に一気に俺たちのほうは静まり返る。
「あんな化け物と戦ってるんだけら、もっとシビアな場所だと思ってたのに……」
「…………」
「あ、ごめんなさい、笑っちゃって。でも、なんか安心して……フフッ」
俺たちの様子がよほどおかしかったのか、それとも今言ったようにあまりのアットホーム感に一気に気が緩んでしまったのか。
だけどそんなことは俺にはどうでもいい。だってどうよ、この笑顔。同性にしておくにはもったいないくらい可愛いぜ。
そう思ったのも俺だけではないらしく、同じく後ろの男共は揃いも揃って頬を紅潮させていた。
ボソリボソリと「可愛い……」という声が聞こえる。
「おい、ウーノ。俺にあの子くれ」
「えー?ダメだって。キュオ男だもん」
「男!?あれで!?」
「もったいない……」
「カチューシャ作ってあげようと思ったのに……」
「フリルのワンピース作ってあげようと思ったのに……」
ちょっと、男ならまだしも女まで惚れさせるって何よ。キュオちゃんマジで恐るべしだわ。
すると今度は「男でもアイドルにはなれる!」だの「ジャンタくんはマスコット!」だのとこれまた本人達にしたらはた迷惑な声が飛んだ。
いやぁ、顔が良いってのも大変なんだね。
「うるさいぞ、お前達」
ところがそんなバカ騒ぎ状態の俺たちを、たった一つの声が静めた。
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