「だったら俺がリクレスになってブローチを使えるようになれば、ジャンタも守れて一石二鳥だ!」
「あーなるほどー」
そいつはいい心構えだね。この子良いお姉ちゃん過ぎて泣けてくるよ。
美人だし料理もうまかったし、面倒見もいいし…
…あれ?
「ちょっと待って」
俺はくるりと振り向いて立ち止まった。
今、俺は何か間違えてはいけない聞き間違いをした気がする。
「何だ?もちろんお前への恩返しも…それとも弟付じゃダメか?」
「そうじゃなくて」
一度さっきの言葉をリピートしてみよう。行ってる内容自体は問題じゃないし、本当に良い心構えだと思う。
だけど、この子さっきこう言わなかった?
『だったら俺がリクレスになって…』
"俺"って言ったよね、この子。
"俺"って。
「一人称…」
「え?別に変じゃないだろ、俺男なんだし」
「にーちゃんが俺って言ったら変?」
小首をかしげるキュオと、その肩から顔を出すジャンタ。その構図はまぁ何とも可愛らしいんだけど。
「…男?」
「あぁ」
俺の頭が少しばかりフリーズした。
思えば、昨日と今日で一人称を聞いたのは今が初めてだ。だからずっと男だと気づかずに、女の子だと信じて疑わなかった。
だけど、男。
こんな可愛い顔してるけど、男。
…………うん。
(美人なのでノープロブレム。)
正直言って面食いの俺としては、顔が美人なら老若男女関係ないね。
そんな俺の考えていることなどつゆ知らず、キュオとジャンタは可愛らしい顔で頭に「?」を浮かべていた。
「あ、やば、眠…」
「は!?お前10時まで寝てたのに!?」
「汽車ついたら膝枕してもらっていいかな」
「断る」
「ウーノ兄ちゃん、それってセクシャルハラー?」
「正確にはセクシュアルハラスメントな」
to be continue.
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