Cuo side
「!」
急にバランスを崩したウーノの身体が、こっちにめがけて倒れてくる。
まさか肩の怪我の出血が酷くて気を失ってしまったのか。
とにかく支えなければ。倒れてくるその身体と地面の間に割りこみ、なんとか受け止めた。
というか、こんな時に気を失…いや、こいつ寝てるぞ!?
「おい!?まだ倒せてないのか!?起きたらどうする!?」
「ねぼすけの兄ちゃん!?」
顔を覗き込めばやすらかに寝息立てていびきまでかいて。
こいつ、敵を眠らせるのはいいけど自分まで眠ってどうするんだ!!
「!!」
すると、逆にそれが引き金だったらしい。
地面にへばりついて眠っていた外れ囚人は、一斉に爆発してその影すら残さなかった。
「……き…消えた…」
周りに残ったのはひらひらと舞う布の残骸だけ。
本当に一瞬で、全てが消え去った。
あぁ、助かったんだ。
心の底からそのことに安堵していた。
ところが一難さってまた一難とはよく言ったもので、問題はまだ残っていたわけだ。
「あっ、血!!血やばい!!」
「うわ、本当だっ!ジャンタ、救急箱!!」
身をゆだねるウーノの肩からは鮮血が止まる事なく溢れ続けていた。
せっかく外れ囚人を倒せたのに、このままじゃ多量出血で死ぬぞ。
あまりの出血に顔は青白いのに、その表情はやっぱり眠ってるようにしか見えなくて妙におかしかった。
「お前…本当に命知らずだな」
だけど、今日のことは絶対に忘れないよ。
ねぼすけな命知らずが、村に残された二人を命がけで守ってくれた事はな。
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