刹那、あたりに飛び散る赤い飛沫。
鼻をくすぐる気持ちの悪い鉄のにおい。
その液体はボタボタと地面に零れ落ちて、すぐに小さな水溜りを作った。

…あぁ、なんてこった。

「…何、やってるんだ」

間に合っちまったよ。

「さぁね」

何とか間一髪でキュオと外れ囚人の間に入る事のできた俺は、案の定攻撃を食らった左肩から大量に血を流した。
慣れたつもりだけど痛いもんは痛い。肩を焼けるような暑さが襲う。

だけど、キュオはそれ以上怪我をした様子はないようだった。
良かった、怪我してなくて。
その綺麗な顔に傷が増えなくて。

「…ピースは見つかった。アンタらに怪我させるわけにゃいかねーし」

「おま…」

「なーんてなっ、ちょっとイラついたんだ。外れ囚人の分際で…」

俺は手の中に握りこんでいたそれを、ようやく使うことになった。
よくもやってくれたなこのマント野郎ども。お前らには制裁を加えてくれるわ。

一見するとなんてこともない俺のピースは、強力な分リスクも大きい。

それが俺を襲う眠気だ。だけど、その眠気があるからこいつらを倒せる。
どういうわけかっていうと、つまりはこういうこと。

「キレーな顔に傷つけてんじゃねぇぞ、コラ」

額に青筋を浮かべたまま、俺はピース…もとい、コンタクトレンズを目にはめ込んだ。




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