Uno side

キュオたちとは反対方向に別れ、俺もただ走っていた。
ったく、あんなたくましいお嬢さんだとは思ってなかったぜ。

なんとか外れ囚人は引きつけるなんて男前な発言かましてたけど、当然何体かは俺めがけて空から襲い掛かってくる。
あまりにしつこい化け物どもに舌打ちしつつ、自分のピースを探すため足元に目を配っていた。

(やばい、眠気がっ…)

こんな時にまで強烈な眠気は俺を襲ってくる。
緊張感の欠片もねぇのか俺の眠気は。ちょっとはすっこんでろ。今寝たら死んじまうだろうが。
何とか閉じそうになるまぶたを気力でこじ開けた時、数メートル先にキラリと光るものを見つけた。

「あっ、あった!」

お目当てのピースがやっと見つかり、スピードを落とすことなく引っつかむ。
全く、落ちると見つけにくいんだから厄介だ。まぁ落としたのは俺なんだけども。
ともあれ、これでこいつらを倒せる。さっそく戦闘に移ろうとした時

「!」

向こうの方で悲鳴のようなものが聞こえた。
遠めに見えたのは、額から血を流してもなお弟を守ろうと立ちふさがっているキュオ。

(まずい、逃げ切れなくなったのか…!)

またあの攻撃をくらったりしたら、今度こそ完全にお陀仏だ。
それだけはダメだ。すぐさま方向転換をしてキュオの方に走り出す。
何より、とある感情が今の俺をかなり腹立たせていた。

「ジャンタには指一本触れさせない!」

近づいてくるにつれてそんな男前な言葉がまたも耳に届く。
どんだけカッコいいのよアンタ。マジ惚れそうだわ。

惚れる前に、まずはアンタを守らなきゃならないけどな。

ふよふよと浮かんでいる外れ囚人が一瞬だけにやりと笑い、キュオに襲い掛かった。



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