黒い布をまとった仮面の化け物どもが一斉にジャンタに襲い掛かった時、飛び込む形でジャンタをかばい、何とか攻撃を避けた。
「大丈夫かジャンタ!?」
「う、うんっ」
投げ出されたバケツはやっぱり砕け散っていて。あれをまともに食らっていたら…と思うと、正直ゾッとする。
あの時もそうだった。こいつらはこの村の皆を、あぁやって理不尽に殺していった。
またゆらゆらと空に浮かび始めた化け物を目いっぱいにらみ返す。
「出たな、化け物…」
こいつらは、父さんと母さんの仇。
そして、こののどかな村から平穏を奪った、村人全員の仇。
「今夜でお前らも終わりだ!!」
今までは逃げるしかなかったけど、それも今夜で終わりだ。
こっちにはこいつらを倒すことが出来るピースとやらがある。使い方はわからないけど、どうしてか負けない自信があった。
頼む、母さん。今だけで良い。
この化け物どもを倒す力を俺に与えてくれ。
弟を守り抜く力を与えてくれ!!
そう強く念じた途端、ブローチは眩く光った。
だけど。
(…っ!?)
襲ってきたのは、今までに感じたことがないくらいの不快感だった。
「うっ…」
「どっ、どうしたの!?」
動くどころか立っている事もままならず、その場に倒れるようにうずくまる。
何だこれは。頭が、身体が、全てがかき乱されるようなこの感覚は。
頭痛も吐き気も酷いし、心なしか脳内では何かにひびが入るような音さえ響いている。
(苦しい…っ)
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