…それからどれくらい経っただろうか。

「はい」

うっすらぼんやりと目を開ければ、目の前のミニテーブルにガチャンとお盆のようなものが置かれた。
あれ、俺、いつの間に寝てたんだろう。寝る直前までの事は覚えてるのに。

「あ、これ、飯?悪いな〜そこまでしてくれなくていいのに」

「良い。聞きたいことがあるから」

決して多くはないし豪華でもないけど、それでも俺に用意された夕食は確かにおいしそうで。
もくもくと湯気を立たせているスープに余計に食欲をそそられた。そういえば今日は朝以外なんも食ってなかったっけ。
布団もかぶらずに寝たから当然身体は冷えてて、家の中だというのに肌寒い。
とりあえずこのスープからいただこうと俺は器代わりのマグカップに手を伸ばした。

「それ食べながらで良いから教えてくれ。何でここに来た?」

「言わなかったっけ?」

「言いかけて寝た」

「あ、そっか」

そういえば肝心なところで意識が飛んだような気がする。
いただきます、と小さく唱えてから、俺はまたキュオに目を移した。

「そのブローチの事、俺らは"ピース"って呼んでんだけどさ。その回収に来た」

「ピース…」

「"欠片"って意味な。クライマ機関は、全てのピースを回収するために作られた組織なんだ」

ここでまた説明しなきゃなんねぇな。何でピースが回収されるべきなのか。
それはピースと外れ囚人が切っても切れない関連を持ってるからだ。

さっき言ったとおり、外れ囚人は人間の欲を食らう。なら、その外れ囚人はどこから現れるのか。
答えは簡単、ピースとの共鳴現象で生まれるんだ。

人には誰しも欲がある。だけど、それにだって限度ってものがあるだろう。
その人が持つ欲が、ある一定の量…つまりは器からこぼれ出てしまったとき、ピースはそれに反応して、外れ囚人を生み出してしまう。

「だからそれは管理する必要がある。そんで外れ囚人を消せるのもピースだけだ」


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