「ま、とりあえずは外れ囚人が出てこないようにすりゃ良いんだよ」
「そんなこと…どうすればいいんだよ」
「簡単だ、あいつらを生み出すものをここから遠ざけりゃ良い」
それってなんだ、と言いたげな青い瞳は、その奥では期待の色を浮かべてる。
俺はゆっくりと左手を挙げ、とあるものを指差した。
「そのブローチだ」
俺が指差したのは、キュオの胸に飾られている、綺麗なルビーのブローチ。
それとは対照的な色の瞳がまたもきょとんと見開かれた。
そのブローチと外れ囚人に関係があるなんて、そりゃあ本人達が気づくわけもない。俺だって下手すりゃわかんないしな。
「俺が何でここに来たか、言ってなかったよな?」
「あぁ…」
さて、ここからが本当に本題。
俺の仕事は、事情を説明して交渉したうえでブローチを回収する事だ。
こいつらも色々あったらしいから疑いはしないだろうけど、譲ってくれるかどうかは別。
それでも俺だって回収するまでは帰れない。帰ったところでまた戻される。
だから、抵抗はしないでくれよ?
「それは…"ピ"…」
あ、やべ。
ぐらり、といきなり視界がくらんで、身体から力が抜けていく。
いつものあれだ。また眠気が襲ってきやがった。
悪いけど、詳しい説明はまた後にしなきゃならなーなぁ。
そんなことをのんきに考えながら、俺は意識を手放した。
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