「その化け物の特徴は?」

「特徴…?えーと…仮面に黒い布がついてるみたいな…」

「はい、決定!」

そんな簡素でわかりやすい化け物、あいつら以外に考えられない。
思ってた通りだ、と俺は微笑気味にため息をついた。

「それ、『外れ囚人(ディサイレ)』ってゆーの」

「でぃさいれ?」

「そ。人間の欲の塊だよ」

そこでひとまず、俺はあいつら…外れ囚人について簡単に説明する事にした。

まず、やつらにあるのは破壊衝動。それも無差別じゃなくて、ちゃんと対象が決まってる。
外れ囚人は動かないものは狙わない。だから基本的に建物なんかは壊さないし、死体にも興味は示さない。
じゃあ動物を狙うのか、といわれるとそれも少し違う。

奴らが狙うのは人間だけで、決して動物を襲ったりはしない。
その人間ってのも誰でもいいわけじゃなくて、欲深い奴が対象になりやすい。
身体を殺して、その人間の「欲」を食い散らして、そしてどんどん肥大化していく。

そこまで説明したところでキュオの表情が曇った。

「…じゃあ、父さんと母さんはそんなに欲深かったと言いたいのか」

せっかくの美人なのに、怒りやら悔しさやら色々混ざったおっかない顔で。
確かに今の説明だけ聞いたらそう聞こえてしまうだろう。自分の両親が欲深なんて言われたら誰だって腹が立つ。
だけど俺はその人たちを知らないし、否定する事も肯定する事もできない。

「…貧しそうな村だし、仕方ねぇと思うよ?」

ただ、言ってやれるとしたらこんな事くらいだ。あとは納得しようがされまいがご勝手に。
それに、もう過ぎてしまった事なんてどうしようもないだろうから、それよりも打開策を考えるべきだ。
考えるまでもなく俺はその方法を知ってるんだけどな。だからここに送られたんだ。


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