Uno side
林道で遭遇した美女を追いかけてたどり着いたのは目的地。
聞いてた通り無駄に静かで不気味だった。
そんなことに意識を割く前にとりあえずは美女を追いかけたわけだが、なんでか恐ろしい事に化け物と罵られて刀まで向けられて。
あぁ、チーフの言ってた事ってやっぱ本当だったんだって思った。
この村がこんなに静かなのは、あいつらが全部食い荒らしてしまったからなんだって。
「…ほ、本当に知ってるのか?あの化け物の事…」
「知ってる知ってる!」
どうにか敵じゃないと理解してもらい、家にまで入れてもらえた俺は遠慮なくベッドに腰を降ろした。
途端にギシッと年季のこもった音がして、古いのかボロいのかわからないけど思わず笑ってしまう。
あ、まずは自己紹介しなきゃだよな。
「改めて、俺はクライマ機関所属の『リクレス』、ウーノ・クーン。よろしく」
「くらいまきかんのりくれす…?」
「後で説明するから。アンタは?」
きょとんとした様子はまぁ予想通り。リクレスなんていわれてもピンと来ないよな。
俺たちの仕事は待遇こそいいものの、そこまで名の知れた仕事じゃないから。
俺が人間だとわかって警戒しなくなったのか、女の子はふわっと笑った。やべぇ、マジ美人さん。
「キュオだ。キュオ・キッツィ。こっちは弟のジャンタ」
へぇ、キュオってんだ。名前まで可愛いな。
弟も弟で、結構可愛い顔してる。きっと将来イケメンになるだろうな。
なんて顔面診断は後にして、とりあえず本題にうつりますか。
俺がここに来たのもそのためだしな。
話を聞きたいんだけど、と切り出したら向こうも真剣な顔になった。
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