『おーい篠宮、お前はまたこんなところで寝て……風邪引くぞ?』
『うおっと、小柳、お前はもうちょい気を付けて歩こうな。廊下で躓くの何回目だ?』
『音川……いや、努力の跡は見られる。それはわかる。けど、もうちょっと文字を……な?』
『安心院! 今の俺悪くねえから! 絶対違うから! ちょっ、だから鉄拳制裁はやめろ!』
『豊岡か。お、コーヒーくれんのか? サンキュ。お前もそんな無理はすんなよ?』
『思田、聞いてくれ! とうとうプログラムが完成しそうなんだ!』
『前の新世界プログラムが駄目になっちまったから、今度はそれに改良を加えて……』
『ん? ウイルス? 大丈夫、何せ俺が作った最高のゲームだ。ウイルスなんか侵入させねえ』
『それで、これがゲームマスターな。どうだ、俺そっくりだろ』
『名付けて"銀アルターエゴ"! ……うん、何か微妙だな。やめよう』
『こいつにも大変な役目任せちまうよな……絶望した生徒たちの更生なんてさ』
『でもせっかくだから、俺はこいつにもプログラムでの生活を楽しんでほしいと思ってるよ』
『名前は……そうだなぁー……。ま、きっと誰かが良い名前をつけてくれるって』
『あ? カラーリングが地味? それはつまり俺が地味ってことか。そうなのか!』
『お前ら、あんまり笑うなよー……一応先輩なんだけど?』
『はいこれ以上笑うの禁止! 銀先輩からの命令だから! おい聞いてんのか!』
『……悪い、皆……こんなことになっちまって……』
『俺が不甲斐ないから……俺が油断してたんだ……』
『ウイルスなんて入りこませないって、言ったのは俺なのに……ごめん……』
『けど……けどっ……!』
『……頼む。あいつらを、俺の分身を、助けてやってくれ……』
『あいつらだけは絶対に、救い出してくれ……!』
『――頼んだぜ、お前ら』