――ルオへ
元気にしてるか? 俺は元気だよ。今は前より広くなったテーブルでお前への手紙を書いてる。
お前が出て行って今日で3週間。やっと気持ちも落ち着いてきた頃だ。
ただお前がいなくなったから、増えた仕事もあれば減った仕事もあるよな。
家事は全部俺一人でやんなきゃだし、でも作るメシは毎日一人分だけ。
買い物だって前より量が減って、軽くなった荷物にちょっと戸惑ってるよ。
今の学校はどんな感じだ? 友達できたか? 中学みたいに孤立してないよな?
お前はただでさえ愛想ないんだから、積極的に話さないとダメだぜ?
それと妙に頑固なところがあるから、自分の意思を曲げないのも大事だけど、だからって周りと衝突しすぎないようにな。お互いに妥協しつつうまくやってけ。
それから、つらくなったらいつでも戻ってきて良いんだからな。
お前が鍵師になりたい理由も知ってるし、確かに俺も望んでる部分がある。けど、それでお前まで潰れちゃあ本末転倒だ。
これだけは約束してくれ。絶対に生きろ。
そんで、ちゃんと俺に元気な顔見せてくれ。
俺も次に会えるときまでに、もっと料理の腕上げとくからさ。
孤児院は俺に任せて、お前はお前の夢を追いかけてくれよな。
夏休みに帰ってくるのを楽しみにしてる。
それと最後に。ちゃんと布団かぶって寝ろよ!
――棗より
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