アイ?

※赤ED後



美しい衣装や細工、装飾が数え切れない程重ねられたその場所で、アキラはぼんやりと立ち尽くしていました。

これらは全て、タクトが(正確に言うと彼を浸食したレスポールが)滅び行く青の世界から持ち込んだモノで、アキラはそれを見る度に胸の奥が焼け付くような痛みを覚え、こうして一人でここに立つのです。

けれど彼女は涙を見せることはありません。そんな資格は無いと考えるからかもしれません。

世界のためを思って下してきた命令が、世界を滅ぼしてしまった。そのことが彼女の心に深く深く傷を残しているのです。

今この場に、レスポールはいません。おそらくはまたアキラに贈る美しい何かを探しに行っているのでしょう。

彼女は贈られた全てのモノを見つめながら、ただひたすらレスポールが早く帰ってくるように願い続けています。

彼と居る時だけは、世界を滅ぼしてしまったことよりも彼を(タクトを)壊してしまったことの方が大きく、より強くアキラの胸を締め付けますが、それでも世界に詫びる方法を持たない彼女にとって、ずっとそばに居るタクト(の形をしたレスポール)に喜んでもらうことが、誰かの許しを得たような安堵感を感じられる、唯一の方法なのですから。

「あれ? 何突っ立ってんの?」と、レスポールが帰ってきました。その手には美しいドレスがあります。

艶やかな光沢を放つ赤い布地でつくられたそのドレスを広げて「見ろよ! キレイなドレスだろー?」そう言って彼は笑いました。

そしていつものようにアキラの着ているドレスを脱がせ始めます。引っかかりもなくするすると落ちていく白いドレスを、彼女がじっと見つめていると、レスポールは不満そうな顔をして「なんでボクを見ないのさー……こっち向けよアキラ!」なんて言いながら首筋に噛みつきます。

痛いような、むず痒いような感覚に、アキラがぴくりと体をはねさせるとレスポールは満足そうに笑って、自分が噛みついた場所をペロリと舐め、そのまま彼女を地面に押し倒しました。

「アキラの肌は白いねぇ………きっと、良く、赤が映えるよ」嬉しそうに目を細めて、レスポールはアキラに口づけをすると、するりと彼女の体を撫で回し始めます。

ぴくぴくと身じろぐアキラを押さえつけるレスポールは、とても楽しそうです。そんな彼を見て、アキラは。



とても幸せそうに笑いました。

Undress/服を脱がせる
title/ユグドラシル
100706
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