段差も何もないところでつまずき転んだわたしを見下ろして、イルミは笑うでもなぐさめるでもなく淡々と言った。

「お前、ほんとにドジだよね」
「ううう…」

恥ずかしさにうめきながら擦りむいた膝小僧を見つめる。こんなに派手に転んだのはいつぶりだろう。あああ、落ち込んできた。視界がにじむ。

「おまけに泣き虫なんて手に負えないよ」

ため息まじりのイルミの声が思いのほかすぐ近くで聞こえたと思ったら、ぼやけた視界に肌色が飛び込んできた。

「仕方ないな。ほら、特別だよ」

差し出された手のひらにこわごわと触れると、一瞬で握りしめられて引っ張り上げられた。
16/06/20

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