あとがき

▽ 主人公について


ダンボール戦機は総じて子供は名前がカタカナと統一されていたので、ユイ・ヨルとカタカナにしましたが、ちゃんと漢字が当ててあります。

ユイの方は鳥海結依。

ヨルの方は雨宮依瑠。

双子なので、デフォルト名はあえて最後と最初の漢字を合わせました。
あとは、ちょっと探せばどこかにありそうな名前を目指しました。
拘ったと言えば拘りました。

結依は「結ぶ」に「頼る」という意味で「依」。
お姉さんなので頼りがいのある、それでいてコミュニケーション能力高そうな漢字を入れようと思った結果、こんな名前になりました。
確か「結」の方が先に出て来たと思います。
何故か二文字にこだわっていました。
何故だろうか……。

妹の依瑠の方は「依存」という意味で「依」と付けました。
「瑠」は……もう考えつかなくて、名前になりそうな読みを探して付けました。
やっと決まったーと思っていたら、よくよく考えれば某グライダーなPCゲーに登場する双子の妹さんがこの名前でした。
刷り込まれていたみたいです……。
今となってはすっかり主人公の名前として気に入っているのですが。

苗字は鳥海は適当ですが、雨宮はそれなりに付けるのに時間がかかりました。
合いそうな苗字を…と探し回ったのはいい思い出です。

設定はヨルの方から先に考えていきました。
そこから父親、母親、姉…と考えました。
自分でも意外なのですが、姉のユイの方が後に設定が出来たんですよね。
それでいて、主人公を最初に務めたのはユイなのですから、自分で作っていても創作って面白いなと思います。

この作品、本物偽物区別付けずに考えると、主人公が五人ぐらいいます。
その大半は姉であるユイな訳なのですが、彼女は本物が登場するのにものすごく時間が掛かり、話の大半を妹であるヨルが演じている偽物のユイとAIのユイが務めていました。
ヨルの演じているユイはかなり美化されていて、少しドジで誰とでも友達になれる普通の女の子として演じています。
これ、初期の方は私もこのイメージで書いていたのですが、途中からどんどん変更されていって、AIのユイが出る頃にはちょっと嫌味な性格になっていました。
AIのユイはそこをぼかしていて、ヨルの主観をかなり取り組んでいます。
そうでなければ、自分から消えるとかは出来なかったなと。
今ではああいう展開にして良かったと思います。
彼女はちょっと間抜けな台詞回しをするように意識はしたのですが、天才という設定は最初からありました。
なので、最後の方は聡いなりの苦悩や妹への思い、憧れなどを結構ドロドロに書いたつもりです。
本編でも書いていますが、お互いに理解する機会は永遠に無くなってしまい、そこらへんのドロドロへの確執は残るんだろうなと思っています。
もしも「W」の方を書くときが来たら、そこは掘り下げたいですね。

また本物のユイは性格上、おそらく『シーカー』には入らず、ジン君とも反りが合わないというふうに作ったので、最初から本物だったらきっとこんな話にはならなかっただろうと思っています。
そういう意味では、大変主人公向きではない子でした。
とはいえ、AIのユイも本物も妹を大切に思っているのだけは書けていたと思うので、書きやすいキャラクターではありませんでしたがお気に入りのキャラクターではあります。



主人公である妹のヨルは桜庭一樹さんの「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」という作品の海野藻屑ちゃんをかなり意識して作りました。
精神構造や台詞は特に。その他にも参考にした作品やキャラクターは色々とあったのですが、藻屑ちゃんはかなり根底にありました。
色々な部分が歪んでいて、一見して普通に見える子を目指しました。
初期のイメージでは、例え骨が折れようが何されようが友達の輪の中に入れれば、問題なく会話しだすような子でした。
どうにか自分が変だと自覚して治す方向に持っていけましたが、最初はどのタイミングで正体バラしてやろうか、ジン君とどうくっつけてやろうか、こいつ何考えてんだ? 等々……本当に色々と悩まされたキャラクターです。
ただ家族について嬉々として語らせると一気にそれっぽくなるので、そこはブレませんでした。
結局、最後まで家族が好きというのを貫きました。
家族からの扱いは本当はもっとごちゃごちゃと書いてはいたのですが、スッパリ削りました。くどかったのと、そこまで言わずともいいだろうという感じで。

基本的に思考が暗い方向にいってしまう子なので、短編も長編の一人称もほの暗くなりやすいので……とても書きやすいです。
その分話が同じ傾向になってしまうので、あまり彼女視点でお話を書こうとは思いませんでした。
主人公なのにヨル視点が少ないのは、このせいです。
またヨルはまだ恋愛出来るまで色々なものが回復していないと思っているので、ジン君と恋愛関係には発展させませんでした。
そのため、ジン君が予想以上に過保護になりました。
あれは恋愛感情よりも庇護欲とかの方が強いと思います。
こういう関係を見ていると、改めてジン君に苦手意識を持たれていた時や気づいてもらいたいと思っていた時、一体どういう心境だったんだ? と我ながら不思議になります。
ヨルは書きたいことがまだまだたくさんあるので、出来ればいつまでも書いていたいなーと思っています。


姉も妹も違う方向に面倒ですが、とても楽しんで書けました。
これからもアイディアが尽きるまで書いていられればいいなーと思っています。
「ダンボール戦機」の世界に上手く溶け込めればの話ですが。





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