あとがき

▽ 57〜64のあとがき


だって家族だから。

その一言で全てがどうしようもない方向に集約する話だったのではないでしょうか。


しかし、我ながら性悪な話ばかりだと思いました。
話としてはネタバレ回ばかりで、全力で伏線回収をしています。
ほとんど拾えているとは思うのですが、これから拾うものもあります。これはいらなかったな…と思うものもありました。

お話の仕掛けとしては、主人公が存在していなかったということでしょうか。

鳥海ユイが存在していなかった。
鳥海ユイは死んだはずの妹だった。

主人公である彼女の視点というのは始めから間違っていたということでしょう。
常識が正しくないと言いますか、感覚が狂っていると言いますか…ものすごく複雑なところから話を発展させていたんだなと書いていて思いました。
本当に悩みながら書いていて、当初考えていたものとは大筋は変わらないものの細かいところはかなり変更になりました。
そもそもラストがもう少しすっきりしていました。
双方納得して終わらなかった……。
どちらもぼろぼろで、捨て身状態になってしまい、どうしたもんかと書いた後にかなり悩みました。
悩んだ結果があれです。

個人的には鳥海ユイがAIだったというのは、この作品最大の仕掛けと思っていて、作中のオーバースペックな部分は大体これで解決出来てしまいます。
ちょっとした便利な仕掛けといったかんじでしょうか。
この作品の神様的存在かもしれませんね。
本人は本当のユイではないので出来損ないと言っていますが…いやいや、あの子は十分高性能です。

しかしながら、このお話たち、書けば書く程夢小説向きではない話になっていくのでひやひやしていました。
いえ、現在進行形でしています。

もう妹さんがそれっぽくない。
本当の主人公なのに。
彼女は本当に扱いの難しい子で、気を抜くとすぐにメンタルが弱くなってしまう。
精神的に強い子…いや、鈍いのかな? とにかくそういう子として創ったので、動かすのが本当に大変でした。
優先事項のほとんどが「家族」。
他を入れる余地のないように雁字搦めにして、それをどうにか解いていくんじゃなくて、切っていくという話だったんじゃないかなと今なら思います。
とにかく、無理矢理。本人の価値観をぶっ壊す勢いで。
それは彼女が大好きな家族を「大嫌い」ということで、十分伝わったんじゃないかと思っています。
このシーン、あまり感情剥き出しの台詞を書くことがないので、がりがりと精神と体力を削られました。ここを書くためだけに大体一週間ぐらい使ったような…気のせいかな?
それから、ジン君にはものすごく損な役割を押し付けてしまいました。
彼女の感情を引きずり出すのに必要だったとはいえ、申し訳なくて仕方がなかった…。

それにしても、好きや愛してるをものすごく書いたのですが、全くときめきませんでした。
どうときめけばいいのかわかりませんが。
いや、もう本当に性悪な話が積み重なっていまして、楽しい話が書きたくてしょうがないです。
青い目の彼女が幸せになるのはいつになるやら…。
そして、本物の鳥海ユイはいつ出るのやら…。

ところで読み返していて気づいたのですが、CarnivalのVとYで妹さんの言っていること結構違いますね。
途中でものすごい方向転換したとしか思えない。


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