05.午睡の前に (6/76)



朝ってなんでこんなに眠いんだろう。


何度となく出てくる欠伸を噛み殺しながら、私は先生の出席確認が終わるのを待っていた。
斜め前に見えるカズ君もつまらなそうな顔をしていて、私もきっと同じような顔をしてるんだろうなあと一人納得した。

カズ君と言えば、彼を捕まえます! と高らかに宣言したわけだけれど、次の日にはいつもの様子に戻っていた。
むしろ吹っ切れた様子だった。

そんなカズ君はバン君たちから私のことを聞いたのか、

『…心配かけて悪かったな』

と謝りに来てくれた。

『ううん。むしろ、私が関わった方が大変になっちゃうことが多いから!』

『…自覚はあったんだな』

同じクラスだからと私の巻き添えを喰うことが多い彼は呆れたようにそう言いながら、でもお互い笑いあった。

そしてカズ君は新しいLBXを手に入れたらしい。
名前は『ハンター』。
ウォーリアーのナイトフレームから変わり、ワイルドフレーム。
狙撃に特化した機体らしく、どうやら高精度センサーを搭載しているようで、どう見てもオリジナルの機体だ。
だいぶ変わったねと言ったら、色々あってなと気まずそうに言っていたので私の方から適当に話をごまかした。

ついでにキタジマでバトルしよう、という約束もする。


そんなこんなで、何の変哲もない平日。

先生の出席確認も終わり、細かな予定の確認をしているところで、事件は起こった。

「今日は2時間目の宍戸先生が――」

突然先生の声が聞こえなくなった。
正確には違う、もっと大きな音で塗りつぶされた。
窓が細かに振動し、空気が震えているのがわかる。

「戦闘機だ!」

誰かが叫んで、やっと気づいた。
皆が教室の窓に集まり、誰が来たんだ、いつ戦争になったんだ、どこの戦闘機だと主に男子を中心に騒いでいる。

私はその光景を自分の席から遠目に見て、一言。

「うわあ…」

感嘆とも呆れとも判別がつかない声を上げた。
位置的には隣のクラスだから、休み時間にでもアミちゃんに聞いてみようと思って、私はまた欠伸を一つ。

とりあえず、今は寝よう。

この混乱に乗じて、私は寝ることを選んだ。
うん、おやすみなさい。
眠れることだけは戦闘機に感謝します。今は猛烈に眠いのです。




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