「……ユウ、嬢」


オビはユウの違和感に勘付いていた。
昨日の夜、オビが顔を歪めた時、ユウは確かに1度驚いてからふにゃりと笑ったのだ。
まるで、何かを隠すみたいに。


「……オビ」


何かを言いたそうにゼンはオビの顔を見ていた。そこからゆっくりと溶け出した様に、ミツヒデ達も動き出す。


「…………何というか、一瞬で色々な事が起こりすぎてキャパオーバーしそうだ」
「……白雪?大丈夫?」
「…………だ、大丈夫です」


ミツヒデは片手で頭を抱えながら、息を吐く。木々も白雪も整理が着いたのかゆっくりとオビを見つめる。


「……別に平気ですよ?」
「…………そう。……じゃ、白雪、仕事有るでしょ。此処はもう門を閉めるだけだし行って良いよ」


木々はオビをじっと見つめていたが、息を吐くと白雪の方を向き口を開く。白雪は後ろ髪引かれる思いをしている様な顔でその場を後にしたのだった。

オビにとってユウとは何だったのだろう?
そうオビは自分に問いかけた。
答えは勿論、城に仕事に来た話しやすい女の子。もうちょっと遊びたかった女の子。決して、白雪に対して感じていた守ってあげたくなる様な気持ちには為らなかった。


「……うん」


何かを理解した様にオビは1人頷いた。
オビにとってユウは友人である。そう、そんな友人を傷付けてしまった事が後ろ髪引かれる思いになっている理由だろう。


「さて!主!仕事に戻りますか?」
「お、おぉ。そうだな」
「行きましょ、行きましょ!!」


へへへ、とオビは笑いながらゼンを急かすように先を歩く。
その後ろ姿を木々は真っ直ぐに見つめている。


「……木々?」


ミツヒデがどうかしたのかと木々の顔を覗こうとするものの、その前に木々はミツヒデの顔を押し退ける。


「別に対した事じゃない。……それにミツヒデは何も分からないでしょ?」
「えっ……?何の事だよ?」
「…………それだよ」


木々の呆れた様な溜め息が出たのだった。


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