ユウが慌ててゼンの執務室に向かうと丁度白雪が部屋から出てくる所であった。


「あ、ユウさん!?」
「ごめん、悪いけどミツヒデ中にいる?」
「い、居ます!」
「ありがとう」


ユウが何か慌ててるのを感じとり、白雪はさっと扉の前を開けてくれる。扉を開けてミツヒデの名前を呼んだ。


「ミツヒデ!!」
「……あれ?ユウ?戻ったのか?」


不思議そうにミツヒデは首を傾げる。中には、ゼンとミツヒデに木々、それにオビまで居た。


「ミ、ミツヒデ!昨日!私の事、部屋に連れて帰ったよね!?」
「は?」


ゼンが訝しげにミツヒデを睨むがミツヒデは申し訳なさそうに眉を下げる。


「あー、悪いんだがユウ。覚えてないんだ。悪い」
「き、記憶が無い……?わ、私、昨日なんかミツヒデになんか、なんかしちゃった……??たんこぶとかない??いや、でも部屋荒れた様子無かったし……。あっ!お酒!?私ミツヒデにお酒勧めてた!?酒呑んだ感じする!?」
「あー、違うんだ、ユウ。一旦落ち着け」


ゼンもユウの発言で気になる所があったものの、珍しくユウが慌てているので先に落ち着かせようとミツヒデにあったことを話し始めた。
途中で「だからか……」「あれは私の変換じゃなかったのか……」と納得し、ほっとした様な顔になっていた。


「なるほどね〜いや〜良かった〜!昨日、私もしっかりしてなかったから、記憶なくす程の何かしちゃったのかと思ったわ〜!」
「ところで、お前、さっき、"部屋に連れて返った"って言ってた、よなぁ?」


ユウが明るく部屋を去ろうとすると、ゼンが1トーン下がった声音で尋ねてくる。うん?と何故それを聞くのか疑問に思いつつも肯定する。


「ミツヒデと、何が、あった?事と次第ではミツヒデに罰を与えるぞ」
「え?なんでそん……あー、はー、あー、はいはい、なるほどね。なるほど。なるほど。つまり、貴公子ミツヒデが私に変な事しなかったか、って事ね〜」
「どうなんです?ユウ嬢」


オビが興味深々といった様子で体を前のめりにする。木々は興味が無さそうだし、ミツヒデは記憶が無いから顔面蒼白であった。


「どうも何も……。まー私も寝ちゃったからあんまり分かんないけど、昨日のミツヒデの貴公子っぷりから考えて何となく予想はついた」
「も〜!だからそんなに引き伸ばさないで〜!バーっと喋っちゃいましょうよぅ!」


オビはぐいぐいと右肘をユウの脇に当てて先を促す。別に隠す様な事でもないので、ミツヒデへ目で伺うと「早く言ってくれ」と余計に顔を真っ青にしていく。


「いや、多分だけど、私がミツヒデに抱えられている時に寝ちゃったんだよねぇ。貴公子ミツヒデは意識の無い女性の部屋に無断で入れないし、となると自分の部屋に寝かせて自分は朝まで別の所でなんかしそうじゃない?」
「「「あー」」」


3人は納得、というよりこいつならそうだなといった想像がついたのか頷いていた。


「だから別に変な事は何もされてないよ。強いて言うなら、お姫様だっこくらい?」


ピシャリと3人の体の動きが不自然に止まったが、ユウは聞きたかった用事が終わったので「お邪魔しました〜」とさっさと部屋から出て行く。
閉めた扉から何か騒ぎ声が聞こえた気もしたが、ユウは鼻歌を歌いながら自分の部屋へと戻っていった。


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