仕事中毒



「おはよう!ユウ嬢!!」


ユウの目の前にはとってもいい笑顔をしたオビが居た。寝起きなのだろう、ユウの目はぱっちりと開ききっておらず、髪の毛も所々はねていた。


「ォビさん?…………はゃ、くなぃ?」
「何を言ってんの!!もう4時30分だよ!!」
「…………!!もう!?寝過ごした!!」


4時30分と聞くとユウは目をぱっちりと開いて慌てて部屋に戻った。オビはユウの後について部屋に入る。近場の椅子に座り「あれ可笑しいなぁ」と思いつつのんびりとユウの様子を見つめた。こんな朝早くから起こされたら普通は怒るだろうに、ユウはオビを部屋に招き入れている。


「………………って!!!ユウ嬢ちょっと待って!!待って!!俺居るから、俺居るから、危機感もって!!目の前で着替えないでよ!!」
「見られても困るもんでもないし、別に良いよ?」
「俺が、主やら旦那やらに怒られるから!!」
「じゃあ目を瞑っててよ、そしたら大丈夫でしょ。女らしい体じゃないし。」
「え、あっ、ちょ!」


後にオビは語る。
男の性には抗えませんでした、と。







「んで、何でオビさん部屋に来たの?」
「あ、やっと聞く気になった?」


着替えも終わり、ユウが何処かを目指して歩いている時、ぽつりと聞いてきた。流石に朝っぱらから大きな声は出せない様である。


「いやー本当はさー、早い時間に来て"まだこんな早いじゃん!何起こしてるの!?"って怒られる予定だったんだよねぇ」
「つまり、何も用事は無かったと」
「つまりはそーだねぇ」


ふーん、とユウはオビを怒ることもせずにさくさくと歩く。


「ねぇユウ嬢?これどこ向かってんの?」
「執務室。……あ、ゼンには言わないでね?あいつすーぐ仕事するなするなってうるさくて」
「いつも行くと既に仕事してるもんねぇ……。あれ……毎日この時間に?」
「うん。まぁ、大体は」


え?とオビは驚いて止まる。
どうしてオビが止まったのか分からず、ユウは不思議に歩みを止めた。
そしてオビの頭の中にゼン達の言葉が蘇る。


『いいか、ユウが仕事をしているのを見かけたらすぐに辞めさせろ。あいつはワーカホリックだ』
『言いくるめるのとかオビはそういうの得意だろ?仕事を目の前から取り上げて食い物渡せばある程度は何とかなるぞ』
『偶にならまだしも気付いたら隙を見つけてやってるから、気を付けてね』


「……あ〜、ユウ嬢?先に朝ご飯食べません?俺、料理得意なんですよ」
「何で急に敬語?……まぁでも食べ忘れたりするしお願いしようかなぁ」


ユウの気が変わらない内にとオビはユウの肩を押して執務室とは別の部屋へと向かった。



*****
ずっとネタをどうしよう、どうしようと手を付けられずにいたんですが、ヒプマイの独歩をみてこれだ!!とピンときたのでやっと完成出来ました。
一回短い短編を作ってみたかったので、あまり深く設定は作らずさくっと書いたので急展開だったりもしますがそこはご愛嬌ということで……笑
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