その後、子狐のフィーは回復し、ミツヒデと木々も薬室に集合した。


「……何を、しているんだ?」


ミツヒデが薬室に入っていの一番に発した言葉がこれだった。そう言いたくなってしまうのも仕方ないだろう、オビ、白雪、リュウがユウの前にぎゅうぎゅうに並び、目を覗いていたのだから。


「あぁ、ミツヒデと木々か」


ゼンが扉の近くで呆れた様に壁にもたれ掛かっていた。


「どうやらユウ殿が虹彩異色症らしくてな、こうなっている」
「旦那!旦那も見ますか?主ったら俺はいい、とか言っちゃって!!こんな綺麗なの見ないと損ですって!」
「さっきまでの怪我人をそうやって見るのはどうなの」
「木々嬢!!ほら、木々嬢も!!」


オビは興奮した様にミツヒデと木々に詰め寄るが2人ともヒラリと交わして話し始める。オビは諦めたのかまたリュウの隣に陣取り覗き込む。


「なるほど、目の動きは普通、と。光をあてると一層光って見えるのは?いや、そもそも青と赤っていう対極の色がこうやって存在出来ている事が珍しいし……」
「そもそも、この白い髪も凄いですよね。ここらじゃ見かけないし。それも関係してるんでしょうか?」
「…………あは、はは」


勢いに圧倒されたのかユウはちょっと引き気味で笑っていた。まさかここまで食い気味に来られるとは思って無かったのだろう。流石にそれを見ていたミツヒデは可哀想に思ったらしく、止める様言う。渋々白雪達は離れる。


「ユウさん、団長さんには言ったのですが、貴方達お客人様の部屋を用意したので其方の方へご案内します」
「あ、ミツヒデさん。ありがとうございます。それじゃあ白雪、リュウまた明日ね」
「あ、はい!分かりました」
「また明日、来てね」
「お、リュウ坊、積極的だなぁ!」
「お前も行くんだぞ、オビ」


はいはい、とオビは立ち上がりミツヒデの隣へ並ぶ。ミツヒデを先頭に薬室からユウ達は出て行き、長い廊下を歩き始める。


「ミツヒデさんって大きいよね。何食べてるの?」
「えっ?……いや〜特に他の人とは変わりないと思うけどな…………ん?」


ミツヒデが何かに引っ掛かって後ろを振り向くと、驚いた顔をしたユウと笑いを堪えているオビ、呆れた様な木々の姿が目に入る。


「旦那〜。ぶ、ふふ、口調崩れてますよ〜、はは、はははは」
「ご、ごめんなさい。ミツヒデさん」
「緊張感不足」


どうやらオビがユウにミツヒデに向かって敬語を外す様に言った様だ。それを律儀にやるユウもユウだが、すっかりミツヒデは毒気を抜かれてしまった。


「いや〜だってオビがいつも通りだし、ユウさんって小さい子供相手に……あ、いや、その、悪い意味では無くてですね!!?」
「良く、言われるので、お気に、為さらず、に」
「ユウ嬢、ほっぺ膨らんでる、膨らんでるって」
「ミツヒデ」
「あ、あの、その、えっと。…………申し訳ない!!」


何を言っても言い訳の様に感じたのだろう、ミツヒデは潔く頭を下げた。ユウはオビに指摘されたほっぺは萎み、へへっ、と笑みを漏らした。


「良いですよ、ミツヒデさんの話しやすい様にして貰って。歳上の人に敬語を使われるのも慣れてないので。あ、是非木々さんも!」
「そう?ならそうさせて貰う。ユウもオビと同じ様に話し掛けて貰って構わない」
「そうさせて貰うよ……。ユウも言いやすい様にして貰って構わないよ」
「主、仲間外れですね!!」


ホッとしたミツヒデの溜め息、慣れた様な木々、大笑いしているオビの声かユウにはとても暖かく感じたのだった。

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