「へぇ、白雪、薬草詳しいんだ。動物に効く薬草とかって合ったりする?」
「あ、ありますよ!取り扱いが簡単だからユウさんでもきっと使えると思えます!」
「おっ!本当?後で薬室寄るから教えてくれない?」
「分かりました!」


真横で繰り広げられるガールズトークと言って良いものか、いや、女の子達の会話だから間違ってはいないものの、内容がキラキラしたものでは無く薬草の話なのでオビは何とも形容し難い表情を浮かべる。
白雪の隣を歩く先程会ったユウ。見た目からは儚さが漂うものの、口を開くとあら不思議。何とも友好的な性格をしていた。
自身も昔から友好的な性格であると自負しているつもりだが、いくら白雪だと言え、此処まですんなりと他人から信用を得れるユウを少し不気味に感じる。


「オビさん。……オビさん?」
「ん?あ、何かな、ユウ嬢」


ユウが白雪を隣に置きながら、不思議そうにオビを見つめていた。ぼーっとしていたオビは反応が少し遅れてしまい、慌てて顔を上げると心配そうにオビの顔色を伺う白雪の顔が目に入る。
白雪が自分を心配してくれている事が嬉しいが、それを悟られない様にオビは顔を少し背ける。その為、ユウの目が少し細くなった事にオビは気付かなかった。


「オビさんって21歳なの?」
「え、まぁ、そんくらい?」
「じゃあ歳上だね!!」


へへへ、と少し頬を赤く染め先程までの様子を全く感じさせない様に、ユウは照れ臭そうに笑う。白雪は「嘘!」ととても驚いているがオビはそれどころでは無かった。

オビは悟ったのだ。
それはまるで素直な幼い子を相手にしている様である、と。

見た目からは年相応に全く感じさせない幼い顔立ち、それに比例するかの様に幼い子と同じ様に感情が顔に出やすい。幼い子程、警戒心を薄められるものは無い。


「……オビさん、もしかして体調悪い?元気無い様に見えるけど。振り回しちゃったの不味かったかなぁ〜」
「いや、実はちょいとぼーっとしてて。体調が悪い訳じゃないから平気だよ」


そうオビが言っても、ユウは疑う様にオビの顔をまじまじと見ると何かを納得したかの様に頷いた。


「うん、まぁそれなら良いや。どっちにしろ団長に明るい内に戻ってこいって言われてるから戻ろうか!……って言っても道が分かんないんだけど。案内よろしくね、白雪」


白雪を先頭に3人は城を目指し歩き始めたのだった。
オビはユウが自分が勘繰っていた様な裏がある様な危険人物では無い事に安堵の溜め息を漏らす。昔、仕事をしている時はわざとそういう態度を取って信頼させようとする女をごまんと見てきた為警戒してしまったがそれはどうやら杞憂だった様だ。
しかし、その安堵はユウがそんな事を考えない様な性格だと察したからだが、それは彼女の幼さ故なのかはオビには分からなかった。


そうこう考えている内に城の門まで歩いて来ており、白雪とオビはユウと別れたのだった。
また、後で再会する約束を取り付けて。



ユウはというと、門番の人にチェックされて団長を呼んで貰っていた。いくら呼ばれたと言っても偽物だった場合、大変な事になるので仕方ない事だろう。大人しく団長を待っている。
その間に門番の2人と話しており、やはりと言うべきかさっさと仲良くなっていたのだった。

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