いつも通りの変わりない授業が終わって、私は綺麗な夕日に染まる帰り道をさくらは歩いていた。

このまま家に着いて、ご飯食べたり宿題したりしたあとはまた寝てる間にトリップ。どの世界に行くのかもわからない。何が起きるかわからない。それを考えると自然とため息が出てしまう。


「…?」


ため息をついたあとに前を向くと、少し離れたところから誰かが立っていた。気にせず歩いて、近づいてもその人は動かない。むしろ私を余計に見つめてくる。


「あ、あの…」


何となく直感したのは、この世界の人ではないということ。濃い青髪で、水色の瞳で、とても長身の男の人だから。この世界ではこんな色、有り得ない。だとしたら私と同じ、トリップ出来る人かな?なら、お話してみたい。
そんなことを考えていると、男の人は私を見つめながら首を傾げた。


「これが、俺の契約者なのか?この小さいのが」

「けいやく?って、いてて!」


男の人はひとり言を言ったか思うと私のむにっとほっぺを摘んだり、頭を触り始める。何がなんだか解らないよ…。暫くして、満足したのか男の人は手を離した。


「…背は小さいし、何もかも普通だな。大した力はないが、俺と同じ夢渡りが出来る。極度の運体質。…お前、名は?」

「さくらだよ。って、人のこと小さいとか…これから成長期だもん…多分。あ、それより!夢渡りって何?あなたも、私と同じなの?」


「まぁ、そうだな。順を追って説明ーーー!」


突撃、男の人が私の肩を持って後ろに突き飛ばす。その後すぐに私と男の人の間をナイフが通り抜けた。そうか、当たらないようにしてくれたのか。でも転んで膝を軽く擦りむいてしまった。ひりひり痛い。何事かと見れば男の人は面倒くさそうにある1点を見ていた。


「よぉジャック。手前、何してんだ」

「いきなりナイフを飛ばすお前こそ何をしているんだ?トウレン」


そこにいたのはまた別の男の人。サングラスをかけていて、目元は見えないけど怒っているのは何となく感じた。


「うっせぇよ。手前、そのガキに何しようとしていた?契約者になってもらおうとか考えてんじゃ…」

「察しが良いな。だが、順を追って説明するところだったぞ」

「そのガキが手前と似ていたとしてもガキの人生を手前のせいで全て台無しになるかも知れないんだぞ?そりゃダメだろーが」

「お前には関係ないことだぞ」


「あ、あの!!」


何を話しているのか解らない私はついに我慢が出来なくなって声をあげた。すると、二人が一斉にこっちを見てくる。目つきが悪くて怖いよ!


「契約って、なんです…きゃあ!!」


目を離した隙に、ジャックと呼ばれた男の人が私を肩に担いだ。急な浮遊感で気持ち悪くなる。


「ハハッ叫び声は一級品だな!」

「は、離して!離してよ!!」

「おお、背中叩きもなかなかだな。もう少し右だ」

「そうじゃないのー!」


背中を叩いてもこの人は笑うばかり。
ジャックはふと、「トウレンを見てみろ」と言う。
顔を上げたら数メートル先に片手に銃を持っている。そして、それをこっちに向かって撃ってきた…!







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