治安が悪い街の中心にある高級ホテルの一角。
その廊下をぱたぱたと双子の少年が走っていた。
「たいちょー!」
「大変だよ!」
ドアを思いっきり開けた音で椅子に居眠りをしていた男は不機嫌そうに起きる。
「なんだよ…あと今は隊長じゃなくて社長な」
「そんなのどうでもいいの!あのね」
「ジャックが異界の扉開けちゃった!」
「正確には山天狗の力で開けたけど!」
「「どーしよー!!」」
「はぁ!?」
廊下に響きそうな大声で男は言う。完全に眠気は覚めたらしい。そして深いため息
「あのバカ…」
「どうしました?って桃簾、仕事サボらないでくださいよ」
「うっせぇ藍晶。ジャックが異界に行っちまったんだ。なに企んでるんだアイツ」
「最近力の制御がし辛いと言ってましたね。契約者を探すのかもって桃簾!?」
椅子から降りて堅苦しいスーツの上着を脱ぎ、ネクタイも緩め机の引き出しから愛用のナイフと銃を取り出す桃簾に、藍晶は首を傾げる。
「見て解んねぇのか?あのバカを追いかけるんだよ。アイツはトリップ体質だからどの世界でも普通に居られるが、普通の人間が異界に行き過ぎるとバランスを崩す可能性があるから俺一人で行ってくる」
「…了解しました。」
「そう心配すんなって。…碧玉!黒玉!ジャックの気配追って座標探せ!で、転送陣展開しろ!」
「「了解、しゃちょー!」」
「社長じゃねぇよ。今は隊長だ!」