白亜です。今日はちゃんとイヨ姉ちゃんに言ってから探検にきました。今日の目的は、この前逢ったリャクさんとナナリーさんを見つけるコトです!!



「どこかなー。五階にはいなかったなー」


二回目なこともあって、薄暗い廊下も慣れたのか怖くないよ。それに、今回は前と違うコトがたくさんあるしね。


『六階、捜してきたけどいなかったよ』

「さゆり!ごめんね…ありがとう!」


天井をすり抜けてボクの肩に手を置いたさゆりは残念そうに言う。前と違うコトの一つは自分の能力について。最近、何となく使い方も思い出してきた。でも、やっぱり他人にはまだ触れない。さゆりと合流したボクは四階を捜すコトにした。


『そろそろ晩ご飯の時間だね』

「ねー。ちょっとお腹空いてきちゃった」


少し人の数が多くなった四階の廊下でさゆりと話しながら歩くボク。あ、でも、さゆりはボクの能力で感情を具現化した存在だから、彼女の姿はボクしか見えない。だから、周りの人から見たら、ひとり言って思われちゃうのかな。


「人にぶつからないようにしなきゃ…」


気をつけながら歩いていると、食堂についた。人が多い理由はこれかな?ボクは少しだけ、入口らへんで中を覗く。人が多くて入れそうにない。特にあそこなんか…白衣の人がたくさんいるし。…白衣?


「もしかして…」


少しだけ前に出て白衣の人たちの様子を伺う。隙間から一瞬、見たことある金髪が見えた。もしかして、もしかして!


「さゆり!見てきて!ね!ね!」

『もちろん!』


ふわりと浮いて、さゆりは中を見に行った。そしてすぐに戻ってくる。表情で何を言いたいか解った。どんぴしゃだ。


『あの人達だった。実験とか、難しいお話してたよ』

「リャクさんとナナリーさん!やっと見つけた!」


少し大きな声で言ったから、すれ違った人に不思議そうに見られたけど気にしないよ!
挨拶したいけど、どうしようかな。近づいたらたくさん人とぶつかって、大惨事になるよね…


「よし、思い立ったが吉日!」

『ちょっと意味違うよ』


「リャクさーん!!!!」


大声で食堂の入口からリャクさんが居るであろう白衣の集団の方に向かって名前を呼ぶ。周りの人、特に白衣の人たちはボクを見てすっごい驚いている。何かしたかな?
リャクさんが立ち上がってこっちをびっくりして見てる。隣のナナリーさんは何故かふにゃんとした顔をしてるね。


「えへへ、久しぶりだね!!」


リャクさんにぶんぶん手を振ったら今度は周りがざわつく。

…ボク、本当に何かした?





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