※永倉さまの一期一会の続き!




『なんだろこれ…』


鈴芽は困惑していた。
突然顔に覚えがない人物、おそらく新入生だろう。その新入生に「あとよろしく」と言われ目の前には新入生に絡んでいた柄の悪い知らない三年生。

面倒くさいな…と鈴芽は声に出さずにボサボサした緑の髪をかく。


「なに見てんだよ」

「いや、あの…ペンチを…」

「派手な緑髪しやがって、テメェ噂で聞く二年生かよ」

「………またかよ」


上級生の言葉に鈴芽は小さく悪態をついた。相手が言っているのは兄の鈴見のことだ。双子で目の色以外は瓜二つ。派手な外見と口の悪さのせいで上級生によく喧嘩を売られている。

だが鈴芽自体は手先の器用さと構築の能力のお陰で教師からの評判は上々。毎日の様に学校内の機械を直している。今だって緊急で放課後までに、と教師に言われ特別欠席扱いで外にあるスピーカーを直していたところだ。


「先輩方の目、腐ってるんじゃないんですか?区別ぐらいつけろっての」

「あ゙ぁ!?」


バチッと上級生の電流操作の音が響く。鈴芽は呆れた様に笑った。


「上級生が後輩に異能やら能力使うなんて、大人げないですね」











・・・・・・・・・・


「どうしたんだよ。そのすり傷」


「なんか、成り行きで上級生と喧嘩して…異能ばっか使う弱い奴だった」


放課後、たまたま廊下ですれ違った兄の鈴見が珍しく不思議そうに訊いてきた。


「また俺に間違えられたのかよ」

「違う。なんか、柄の悪い上級生に絡まれてた新入生がいて…そこに俺がペンチを飛ばしちまって…その新入生があとよろしくって…?」

「訊いてる俺に訊き返すんじゃねぇ」


鈴見に睨まれても慣れたことで、歩きながらポテチを食べていた手を止め、鈴芽は「あ、」と何かを思い出す。


「にしても変な奴だったなー。女なのに男ものの制服着て」

「…まぁこの学校変な奴たくさんいるからな」

「そっか。あ、ポテチ無くなった。鈴見買えよ」

「なんでだよ」

「『弟よ、喧嘩頑張ったな』って」

「なんでそうなるんだ」

「買ってよオニーチャーン」

「フザけんな!!」



ぎゃあぎゃあ騒ぐ派手な緑髪の双子。鈴芽は気づかなかった。噂をすればなんとやらで今さっき鈴芽が話をしていた新入生とすれ違ったことを





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