「あ、一つ言わないといけなかった」 「何だ?」 「俺の能力についてだ。俺は二つ能力があるんだが、使うとしたら、今回はその内の一つだな。物を破壊するのに丁度良いんだ。能力の詳細については…雪国近くなったら話すな!ここは人が多すぎる。信用してないってわけじゃないけどさ。危険なんだ」 「…?解った」 「さて、これからは自由か。んー…じゃあ部屋に戻ろうかな」 「四階とかに行かなくて良いのか?」 「あぁ。だって諜報や白衣の人に怪しまれたり捕まれたりすんの嫌だし。今日は充分に楽しませてもらった。食事、御馳走様でしたっと…あ、部屋まで案内してくんねぇか?」 へらりと笑って日暗はシングとミルミに話しかけ、部屋の前まで案内してもらうと扉の前で別れた。 さてっと…何を…あ、ラグナとイザヨイに連絡しないと… 宿を点々としながら活動している日暗にとっては慣れてる真新しいシーツの感触を確認しつつ携帯を開く。盗聴や隠し監視カメラなど『そんなコトはないだろう』と思いつついつもは電話で会話してるところをメールで連絡をとった。 『明日から次の革命の準備しとけよ』 『了解デス!』 簡潔なメールを送り、ラグナからの返信を受けとると日暗はベッドから立ち上がりシャワーを入り、いつの間にか時刻は10時。やることも特に思い付かなかったのでその日はさっさと布団に入った。 虐待とか、あるんだなぁ…こっちは能力者は遥か昔から『いてはいけない者』『災厄をもたらす者』『悪者』っていうのが常識。それが今に至ってる。だから差別されてる。あと宗教か。能力者の中にもあったな。稀にその宗教関係で争う能力者達もいたような…うー…眠い… 考えことをしつつ日暗は布団を頭の上まで被りすぐに規則的な寝息を発てた。 翌日。 コンコン、とノックをしてシングとミルミは約束通り日暗を迎えにきた。 「日暗さん?」 「返事がないですね。…寝ているのでしょうか?」 「あっ!悪い悪い!外、走りに行ってたんだ」 「とにかく、本当に悪いけどあと10…いや、5分待って!シャワー浴びて準備すっから!」 シングのツッコミをスルーして日暗は忙しなく部屋に入り、扉を閉めた。自分よりずっと歳上で、その上一つの革命組織の隊長なくせに妙に子供っぽい日暗にシングは思わず苦笑した。 「マスター?」 「いや、あちらの能力者は不思議な奴が多いのかなとな」 「そうですか」 それからきっかり5分後、今度は扉が勢いよく開き「よっしゃ5分以内!」と余程急いだのかヘッドフォンをずらしたままの日暗が出てきた。 「そんなに急がなくても大丈夫だったぞ?」 「いやいや、人様を待たせるわけにゃいかんだろ?さぁ行こうか」 |