※World fuseの世界観で永倉さんのRelationの続き。





突然自分が知らない青年に、自分が何をしてるか当てられ不意をつかれた。日暗は一瞬だけ驚いてから耳からずり落ちそうになっていたヘッドフォンをつけ直すと今度は面白そうに口元を緩める。


「んー。俺はアンタ等のコト見覚えがないんだけど…こんな若い奴等を忘れるわけが…あ!あの時の奴等か?異能者!そしてアンタは俺を遠くで見てた奴だったり」

「あぁ」

「じゃあその二人も同じか」

「そのとおりだ」


アイの肯定の言葉を聴くと日暗は更に目を輝かせ突然、にこりと笑った。コロコロ変わる彼の表情にアイの隣にいるワールは怪訝そうな顔をするが当然日暗は気にしない。


「まずは遠路はるばる御苦労様だな!!こっちはアンタ等にとっちゃ暮らしにくいだろう?異能使えねぇし」

「能力者の調査のために着たんだ。ここまで能力者への弾圧が酷いとは思わなかった」

「そうかー?最近は色々と大変だからな。でも勝つか負けるかの戦いじゃねぇし。死ななければ良いんよ」

「?」

「認めさせるか否かの問題なんだ。まぁそんなコトは置いといて、俺も異能者のコトを知りたい。だからそっちに行こうとしてたわけ。いやー、俺は実に運が良いなぁ。良いよなぁ?」

「はぁ?」


ついにワールがこいつ何言ってんだと言わんばかりの声色で訊き返す。そして日暗は笑顔でとんでもないことを口にした。






「アンタ等さ、何かの危ない組織に入ってるんだろ?それにちょっと入らせてくれねぇか?」

「…は?」

「数日間、職場体験させてくれないかなーって!!」


「な、何言ってるんですか貴方っ!!」


そう大声で言ったのは男性恐怖症のため遠くに離れているシドレ。アイもワールも呆然としてた。


「本初の予定ではただそっち側の国行ってのんびりと見て回る予定だったが…やっぱりそれじゃあイマイチつまらない。異能者がどうやって異能を使うのか、この目で見たいし体感してぇんだよな」

「……残念だが俺等は組織でただの一員でしかない。個人では決められ「えぇぇえぇ!?ダメ?せめて上司に報告ぐらいしてくれよ!『ここに職場体験したいとか言ってる変な能力者がいる』とかさ!それで無理って言われたら諦める!普通に観光客としてそっちに行く!なっ?頼むってー。なぁなぁー!能力者のコトも教えるし!」


「…う…っ」

「押しが強いですねこの方…!」


「ダメか?ダメ元で連絡してくれよ!悪いのはアンタじゃなくて俺だし!」


この前視た時より一層煩くて飄々としつつ押しが強い日暗に、アイはため息をついた。これからどうするかを頭の中で冷静に考える。日暗はさっきとは違ってそれを黙って見ていた。



「…シドレ、連絡」

「えっ!嫌ですよ男の方なんか!女の方なら大賛成ですが!」

「俺、能力使えば性転換出来るぜ?短時間だけど」

「本当ですか!?いや、しかし…男…」

「いいから連絡。そろそろバスが来る時間だ」



アイに促され仕方なくシドレは上司のツバサと連絡をとり、暫くしてから通話を終了させくるりと三人の方を何とも言えない様な表情をしつつ振り向く。




「…え、えっと…とりあえず、自分が直接彼と話すから国まで一緒に帰ってきて…と」

「マジかよ!?」

「よっし!ありがとう!大好き!」

「近づかないでください!!」

「…仕方ないな。バス来たし…最初にうちの上司に会ってもらう。話はそれからでいいか?」


「勿論!これから楽しみだ」




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