最近変な夢をたくさんみるが、いつからか不定期に同じ夢を見ている。 夢の中ではもう一人の私がいて、驚くことにその私には恋人がいた。 相手の男は綺麗な金髪にメッシュを入れていて、紫の様な碧の様な不思議な色をした瞳を持った奴だ。そしてそいつは不老不死。いつも何を考えているか解らなかった様な気がする。名前は覚えていない。 夢なんて何でもありだからな、と思いつつもなかなか忘れることが出来なくて。今日もその夢を見たあと落ち着かなくなり早朝、ただぼうっと指令室のソファーに座っていた。 「あれ?珍しいねー。いつも時間きっかりにイヨが早起きって」 「十闇?」 声がして扉の方を見るといつの間にか十闇がいた。いつもなら気づくのに気づけなかった。余程ぼうっとしてたらしい。 部屋に入ると十闇はテーブルをは挟んで正面にあるソファーに座った。 「お前こそ、こんな朝早くに起きるとは珍しいな」 「まぁね。変な夢見ちゃって。イヨもでしょ?視なくても解るよ」 「十闇もか?」 「うん。イヨに彼氏が出来るなんてね。嬉しいんだか何だか…笑っちゃうぐらい複雑な気持ちだよ。鈴芽と紅も、確か日暗サンも同じ様な夢を見てるらしいよ」 「そんなに?」 「うん。これって偶然じゃないよね。そこで、オレは一つ仮説をたててみました!」 十闇はらしからぬ言葉を使って得意気に言う。とりあえず、聴いてみることにした。 「オレ等が見ている夢はパラレルワールド、もしくはifの世界のオレ等なんじゃないかなって」 「パラレル?」 「ほら、よく漫画とか小説にあるじゃん。世界の設定事態が違ってキャラは同じなのに色んな人種がいる世界にいたりとか、あ、あと自分はある道で右に曲がった世界に住んでるけど別の世界では左に曲がった自分がいたり。それだけでも充分パラレルだと思うな」 「まぁラグナやイザヨイが異界の出身だし…十闇だって異界で生まれる筈がこの世界で生まれたし…パラレルも有り得るか」 「ね?あの夢はオレ等と同じ時間を過ごしているけど微妙に違う人生を過ごしているオレ等を見ているんだよ」 へへっと笑いながら十闇が言う。ヒトの中身が視える奴に言われると余計に真実味が湧くな。そうか、パラレルワールドの自分なのか。なら、この世界でアイツには逢わないのだろうな。 頭に過った彼を思い出して私は目を瞑った。 |