※最初に言っときます。オチがない






授業中によく寝る生徒というのはクラスの中で二、三人いるもので、鈴芽はそれに当てはまる奴だった。



昼休みが終わって五時間、ツバサは2Dのクラスで授業をしていた。最初はよく居眠りをする鈴芽を相変わらずかとスルーしていたが、今回は少し違う。いつもなら授業が終了する10分前にはなんとか起きていた鈴芽が起きなかった。仕方なく、ツバサは前の席なのに堂々と机に突っ伏して寝ている鈴芽の肩を軽く揺する。




「ほら、起きて」

「ん…この幾何公差…許容量…の…誤差…が」


よく眠る奴以上に知れ渡っている機械バカらしく寝言でも何かの用語を言う鈴芽に、クラスの連中はまたかとクスクス笑い、ツバサはため息をつく。


「なに言ってるの」

「CRTディスプレイの…記録保存を…別の媒体じゃなくて本体に…するには…」


「水かけるよ」

「…ん?」


小さく呟いたツバサの一言にやっと鈴芽はゆっくりと起き上がると、寝惚けているのかじーっとツバサを見つめた。


「…ツバサ先生」

「なに?」

「オクタニクロキュバン、通称ONCっていうプラスチック爆弾を粉末にしたヤツは火花じゃ着火しねぇんだけど、強い圧力をかけたら爆発するんだ。どれぐらいの圧力をかけたら爆発するんだ?」

「…は?」


寝惚けていた鈴芽が突然、流暢に話始めて思わずツバサは聞き返した。が、鈴芽は気にせずペンをくるくる回して何かを考え始める。


「少しの量ですげぇ爆発するからなんかの機械の中に入れてみたいんだよな…」

「まだ寝惚けてるの?じゃあ眠気覚ましに君だけ宿題のプリント二枚追加ね」



「…………………え?」


『宿題』という言葉で鈴芽はようやく目を覚ました。










・・・・・・・・・・


その夜、寮部屋


「社会でそんなに宿題出たのかよ…珍しいな」

「居眠りしてさ、俺だけサービスされた」

「また変な夢見てたのか?」

「変な夢じゃねぇよ!色々考えてたコトが纏まりそうな夢で…CRTディスプレイは記録を保存するために別の媒体に入れねぇといけないけど、それをCRTに直接保存出来ないかとか、あ、ONCはどのぐらいの圧力だろう…あと、その爆発に耐えられる素材だよな。薄い金属類で…あと少しで纏められそうだったのに…!」

「いいから宿題やれ。あとシャーペン折るな」

「あ、また…」




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