賑やかな昼休みの談話室。
そこにはいつもと同じ様に弥生、薫、目、視乃が各々持ってきて昼食を食べていた。


「もー。目と視乃は相変わらずパンばっか食べて…たまにはお弁当作りなよ!」

「部活で朝早いから無理なんだよ」

「俺はギリギリまで寝てる」


弥生の言葉を軽く無視して双子はパンを食べる。そんな二人にため息をつく。
そんな時に、賑やかな談話室がより一層騒がしくなる。なんだと視乃がだるそうに振り向くと、驚いた顔をした。


「あ、視乃いたんだ。ちょうどいいや」

「シロ先輩!」


珍しく嬉しそうな声色で言う視乃につられ、弥生達も振り向くと、そこにはすらりとした華奢で白髪の男子生徒がいた。

明石や青哉みたいなアルビノだろうか。彼らは色素が薄く、髪が小麦色だが彼は完全に色素が無い真っ白な髪に白い肌。黒い瞳が妙に目立っていて、何処か浮世離れしている。
誰が見ても美少年と言える容姿で、おそらく談話室の騒がしさが増したのはこの人のせいだろう。


「珍しいっすね。シロ先輩がここに来るなんて」

「お弁当作り忘れちゃって。購買にね」

「ちょうどいいやって何がっすか?」

「放課後に部活のミーティング。サボったら練習量3倍だって」

「げっ…了解でーす」


視乃の面倒くさそうな返事を聴くと、シロは怒るのでも呆れるのでもなく笑みを浮かべた。


「じゃあ俺はそろそろ。他の三人、視乃のことよろしくねー」

「はーい!」

「弟して厳しくします」

「あはははっ」


薫と目が応えると、笑いながらシロは通り過ぎる。その時にちらっと弥生たちの顔を見た。


「シロ先輩、かっこいいなぁ…あんなに有名なら私の耳に届いてもおかしくないのに!」

「まさかの浮気発言か?薫」

「そんなことしないわよバカ!」


薫が視乃に軽く怒鳴っている時、弥生はシロの後ろ姿をじっと見つめていた。目に「どうした?」と言われ元に戻る。


「あの先輩、さっきこっちを見たとき、懐かしむ様な、でも寂しそうな目をしてた」

「そうか?」

「なんとなくだよ!」

「腹減ってたら気持ちも下がるんじゃねぇの?」

「そうかな…」


不満げに弥生は声を漏らし弁当の残りを食べ始めた。





・・・・・・・・・・・



「偶然に久々に逢ったけど、こうやって間近で話してみると切なくなるね」


購買で買った大量のパンを抱えながら誰もいない廊下を歩いてふふっと、寂しそうに笑うシロ。

シロ以外誰もいない筈なのに肩に手の様な何かが触れた様子が一瞬だけ写った。


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