いつもの談話室のいつもの席、そこには弥生と視乃と黒沢がいた。




「はーぁ…」

「黒沢ーねぇこれ起きた年って187何年だっけ…」

「ふー…」

「なぁ、黒沢。…オイ黒沢」

「…………え?視乃なに?」

「シカトすんじゃねぇ!!」



バコンッ!!


「痛ったい!」


視乃が今まさに自分が使っていた分厚い歴史の教科書で黒沢の頭を叩いた。


「シカトすんじゃねぇよこの女よりな野郎が!」

「もうその言葉には慣れてるけど今はその言葉言わないでよ…」

「沈んでるねー私も聞いたのに」

「うん。ちょっとヤなことあってさー。あ、ここの年号は1872ね」

「ありがと。ヤなこと?」



「そーそー昨日マジ笑えることあったんだぜ」

「やっほー」


新しく耳に入ってきた声に三人が振り向くとそこには燈織と明石。二人もまた勉強道具を腕に抱えていた。



「面白れぇこと?」


「そ、昨日な、黒沢はナンパされたんだぜ!」

「しかも黒沢のことを女と勘違いした男」


「えぇ!?本当それ!」

「ヒャッハッハッハッ!やっぱり黒沢は女じゃねぇか!ハハッヤベー腹壊れる!」

「だろだろー?」


「だから街にはあまり行きたくないんだよ…でも本買いに行かなくちゃならなかったらさ」


はぁ…とまたため息をついて、黒沢はかけていた眼鏡を外した。その黒沢を弥生はじっと見つめる


「なに?」

「いや、本当に美人さんだなと。女の子だと間違えられても仕方ないよ!」

「やめてよーこっちは迷惑なの。文化祭でふざけてやる女装コンテストになんか絶対出るもんか」



黒沢の言葉に視乃と明石の目がキラリと光ったのは言うまでもない





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