「あ、視乃お帰り…ってどうしたその怪我」

「喧嘩した」


寮部屋に戻ってきた視乃は不機嫌そうに未だ血が流れている頬にできた傷を腕の服の裾で拭った。
















「ったくまた喧嘩かよ」


目は引き出しから消毒液やらガーゼやらを取り出してそれを視乃に投げる。


「うっせぇ三年の奴等が勝手に売ってきたんだよ」


それを視乃は受け止めた。


「奴等?」

「そ、面倒くさかった。しかもすげぇベタな理由だったし」

「事をあまり大きくすんなよ。双子の俺にも火の粉が降りかかるんだからさ」

「テメーだって喧嘩強ぇじゃねぇか。俺より容赦ねぇし」

「消毒液、顔に思いっきりぶっかけんぞ」

「う、っ…お前本気でしようとするからやめろ」

「喧嘩する時は隣に俺がいる時にしろよ。まだそっちの方が良い」

「………あいよ〜」


呑気に危ない言葉を紡いだ、やっぱり自分に似ている目に視乃は「はぁ…」とため息をついた。




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