本番 「え、嘘でしょ?」 アンデットの群れを倒してすぐに、セレスの驚いた様に呟く。隣にいるクラトスも、少し離れたところにいるエルーも目を見開いていた。そして、三人の目線の先には 「もうアンデットドラゴンのお出ましかよ…」 運が良いのか悪いのか、アンデットドラゴンが現れた。子供と言えど大きさは五メートルはある。ちなみに、大人は小さくても十メートルだ。普通にアンデットという名前でも火は噴くし鳴き声は地面を奮わす。 「気を引き締めんぞ!!」 「解ってるって!エルーはまだ下がって待機ね。まず僕とクラトスでやるから」 「はい!」 クラトスが先頭になってその斜め後ろにセレスが並び数メートル離れているアンデットドラゴンまで向かう。相手は大きく息を吸うのを二人が確認すると、セレスは大きく横にずれ、クラトスは勢いをつけたまま突然、棍を立てて背面飛びを連想させる様な格好でふわっとゆっくり跳んだ。 その直後に周りが火で覆われる。さっきのエルーが発動した魔術よりは範囲が狭いが、その分火の温度が高い。 「うわっ」 「暑いじゃねぇかこの野郎!」 いつの間にかドラゴンの足下にいたクラトスは軽く飛んで怒鳴りながら腹を叩いた。 「――固っ!」 しかし鱗が固いせいか傷一つ着かなかった。すぐクラトスはドラゴンから離れ、手にきた反動を散らす様に手首を振る。 「クラトスの棍でも駄目な感じ?」 「いや…あのドラゴン、俺が叩いた時に腹を硬質化させてた。あれがなけりゃいけてたが…腹だけ叩いても駄目だよな…ってわけでセレス、」 クラトスが赤い目でちらっとセレスを見た。するとセレスは剣を鞘に戻してわざとらしくため息をする。 「…仕方ないなぁ。僕もそう思っていたところだ。一人でクラトスが僕とエルーを護らなくちゃいけないけど…大丈夫?」 「ったりめーだ。何回やったと思ってる」 「じゃあ、宜しく!」 そう言って、セレスはエルーと同じぐらい後ろに下がり、クラトスは再び前に出た。 「エルー!雷系の、一瞬でも良いから相手の動きを止められる魔法考えといて!」 「は、はい!」 「…よし、やるか」 クラトスがドラゴンと対峙しているところを眺めながら、セレスは上着の裏ポケットから一枚の紙を取り出す。 |