一難去ってなんとやら 「…はぁ…はあ、ったく…エルー大丈夫か?」 「は、はい…」 なんとかソルダーマウスの群れから逃げ切った三人。セレスやクラトスは戦闘慣れして持久力もあるが魔術士のエルーはあまりない。 「…すみません…気を使わせて…」 「んなことないって。エルーはこの中で唯一魔術が使えるんだから」 「でも…」 「でもじゃない。まぁエルーが気を使わせてるって思ってるんならアンデット達を狩る時に頑張ってよ」 セレスが口元を緩めながら言う。その後ろでクラトスが『口が上手い奴』と言葉に出さず呟いた。 「ほら行くぜ!時間無いんだから早く見つけてさっさと終わらせよう」 「クラトスにしてはマトモなこと言ったね」 「どういう意味だそりゃあ…って、あ!」 「―――っ、!?」 最初に気がついたのはセレスの正面にいたクラトス。次に彼の反応を見てセレスも咄嗟に横にずれた。そして、セレスは自分が今さっきまて立っていた地面をみて小さく舌打ちをする。 「矢…?一体どこから…!!」 セレスが辺りを見回そうとすると再び後ろから矢が降ってきた。一本ではなく、束になっていくつも。いくらなんでもセレスでも避けきれない。 「セレス!!」 「ヤバ…」 エルーの叫びに似た声を聴きながら、なんとか剣を構えようとすかさず構える姿勢になろうとするが間に合わない。…と、思ったその時。カカカンッと小刻みに矢を弾き返す音が 「大丈夫か!?」 「う、うん。ありがとう」 目の前には片手で棍を持ったクラトス。そう、あの矢の束をただ棍を回転させただけですべて弾き返してしまったのだ。 「流石、棍使いだね」 「ぼさっとすんなよ。案外早く出くわしたな」 「うん。気を引き締めないと」 「…本番、ですね…」 三人の数十メートル先には鎧を纏っている者、普通の服を着ている者、遠目から見れば人間だが近くで見たら人間とは言えない存在…アンデットの群れがこちらに向かって来ている。 「エルー!魔術の準備して!!僕とクラトスはエルーを援護!」 「わーってる!」 「もちろんです!!」 |