冗談言うなし





「軽く運動かよ。こちとら貧弱なのにーっと!」


一方セレスはクラトスとは違いゆっくりと、あくまで自分のペースで剣で刃を防ぎ払う。だがソルダーマウスは弱点である腹から刃を出し防ぐ。それごと壊すのは華奢なセレスでは難しい。


「それに、僕は召喚士だよ。僕は僕のやり方でやらせてもらう。雑魚だし簡単な術式で良いか」


召喚に魔力は要らない。要るのは媒介、必要に応じて陣と詠唱、精神力と少しの発想力。僕の母さんはそう言ってた。

まず媒介。
今回の媒介は異界の洞窟にある特殊な透明な岩。名をクリアストーン。そのまんまだ。


次に詠唱。


「汝、我に従い。我に銀の小斧を使わせよ。『黒山猫の鈎爪』!!」


黒山猫の鈎爪…セレスがよく使う簡単な召喚術だ。召喚術と言うのはただ人物を喚び出すのではない。人物の技だけを喚び出すことも出来る。寧ろ技だけを喚び出す方がコストも精神力も少なくすむ。

簡単に言うと今回はそのまま異界の樹海にいる大型の猫、黒山猫の引っ掻き攻撃をそのまま此方の世界に喚び出したに過ぎない。


セレスは『黒山猫の鈎爪』で三体同時に腹の刃を破砕すると直ぐ様剣で腹を斬った。「ギィッ…」とソルダーマウス三体は鳴き声をあげて倒れた


「鼠を狩るには当然猫でしょ」

「終わったな。あんまり召喚術使うなよ。子どものアンデットドラゴンでも強いんだから」

「はいはい。全くクラトスさんはウルサイナーウルサイナー」

「なっ…!!」

「ふ、二人供!うし、後ろ後ろ!後ろです…!!」


突然、エルーが後ろを指差す。
言い争いしながらセレスとクラトスが振り向くと顔をひきつらせた。


「ふ、ふざけんなし…!」

「超群れの中だったのかよ!!」


振り向くとさっきの比にはならない程のソルダーマウスの群れ。



「に、逃げましょう!!この生物達は相手ではありません!!」

「もちろん!」

「わかってるって!!」





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