エサリナ無統治自由国の首都、タチーニャの空はとても狭い。天気は快晴でも見える空が少なければ曇りとさして変わらない程に


そのタチーニャにある大通り、無統治自由国あってさまざまな店と人が立ち込め混み合う中、人の間をするりするりと抜ける歩く誰かを誰かか必死に追いかけていた。



「セレス、セレスティン!」

「触んなっ!」


だが簡単に追い付いてしまった誰かは歩いていた人物の肩、セレスと呼んだ人物の肩を掴んだがすぐ手をはたかれる。が、両手をバッと広げ大袈裟に、彼にとっては本気なのだが幸せそうなうっとりした顔で目の前の人物を見る。


「あぁセレス…君はやはり美しい、可憐、そして強い!こんなに広い首都タチーニャで出逢ってしまうなんて正に運・命だヨ!!」

「僕は君がストーカーしているとしか思えないなサンザシ。失せろ」

「またまたそんなことを言って。ボクの愛は君にちゃんと伝わっているはずダ!君がそれを認めないだけでネ。そう、愛!LOVE!君にLOVEMAX!だヨ、セレス」

「認めてないから失せてほしいんだよ。バカ?」


セレスが中性的な顔の目で睨むがサンザシと呼ばれた男はフッとカッコつける様に前髪を手ではらった。端正な顔立ちのせいか余計にイラッとくる仕草だ。しかもこんな人通りの多い場所でそんなことを言える人物もなかなかいない。道行く人達はサンザシを不思議そうに見ている。


「ハハハッまぁ良いサ…それもまた、愛」

「勝手に言ってろ。じゃ」

「セレス!待ってよ。これあげるヨ」

「これ…!」


そう手渡されたのは細長い10センチぐらいの透き通った青い水晶。純度が高いせいか持っている自分の手もなんとなく石ごしに見える。
それをセレスは鑑定する様に真剣な目で見つめた。


「天青石、別名セレスティン。君の名前の由来の石だネ。君の目はこれと同じぐらい、いや、それ以上に碧く美しい!更にコレは召喚術の媒介にも使える優れモノ。明日からの『試験』に是非使ってくれたまエ!最終試験日は明後日だったネ。絶対見に行くよ!じゃあネ!」

「あ、ちょっ…!」


言いたいことだけ言って自分の後ろを駆けて行ったサンザシ。すぐにセレスが振り向くも見当たらなかった。
人通りが多い場所で貰った天青石を片手に握りセレスは一人立ち止まる。



「希少価値高いし、高位の召喚出来るから使えるか。貰っとこ。お礼は…」


ダメ。アイツウザいから無し。


「やっば、時間じゃん戻らないと!」


用事を思い出して時計を確認するとセレスはサンザシとは逆方向に急いで走って戻った。


3ヶ月前に所属したばっかりのクラン、カラオケボックスの家へと




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