※永倉さんの『By chance』続き! 正直この街には暫くの間来たくなかったな と、イヨは治安が悪い街を歩きながら声に出さずに呟いた。 イヨが人拐いの組織で誤射をしてから数日後、彼女は再びその街に居た。 どうやらこの街は他にも似たような組織がいくつかあるらしく、その任務がイヨに回ってきた。他の奴等はまた別の任務があるし仕方ないと思っているがやはり何処か来たくなかったと思う自分がいる。 ―――あ、イヨ。銃弾足りないんじゃない?今回も人数多いんでしょ? ふと、イヨではない者が中からイヨに問いかける。その言葉に彼女は銃弾を確認した。 「ギリギリ、足りないか…」 ―――この前、人拐いの組織潰した時に行った銃器屋さんに行く? 「…だな」 方向を変えてイヨはすぐ銃器屋に向かった。 ・・・・・・・・・ 少し古びた店に入ると外見と違ってちゃんと物が並べられている綺麗な室内だった。並べられた銃の中、奥の方に若い店主がいる。 「あぁ、いらっしゃい。この前来た方ですね」 「覚えていたのですか?」 「こんな店に来る客など…ましてや女性など滅多に居ませんので。今回も銃弾を?」 「はい」 こちらに来てください。と店主に言われ、イヨは丁寧な口調で答えるといつも銃に使う型の銃弾を多めに買った。 「金額はこちらです」 「解りました」 「しかし不思議ですね。若い女性が物騒なモノを買うなど」 「理由を訊かれるかと思っていました」 ―――本当は君よりずっと歳上だけどな! (こら) 中で彼女が店主に向かって言うがすぐイヨが彼女を軽く静止させた。 イヨは能力者だ。見た目は若くとも200歳を越えている。人間から見ればこんな場所に来るなんて変に思うだろう。 「訊きたいですが…ほら、こんな商売です。下手に首を突っ込んだら危ないでしょう?訊かれたことには答え、自分からはあまり問わない。まぁ第一に、買ってくれたお客様はどんな人であれ神様ですから」 「懸命な判断ですね。では――」 「あ、お待ちを」 「?」 「数日前…丁度貴女が銃弾を買った次の日だ。問われたので答えましたが、貴女が買った銃弾と同じタイプの銃弾を持った方が来ました」 店主の言葉にイヨは少し驚きつつも振り向く。 「…どういうことですか?」 「少し血で汚れた弾でしたが確かに貴女が買われたのと同じタイプです。で、その方は私に訊きました『最近ここでこのタイプの銃弾を買った人はいない?』と、なので私は『はい。昨日です』と答えました。どんな容姿かも訊かれましたので簡単に答えました。…知り合いか何かですか?」 「…………。」 「お客様?」 「…いや、解りません。ちなみに、どんな方でしたか?」 「金髪にメッシュを入れられた青年ですよ」 「そうですか。では時間が押しているので帰らせていただきます。ありがとうございました」 最後に微笑を見せると、イヨは店を出た。 ―――金髪だって!生きてるかもよ! (だな。しかし…) ―――? 「相手が私を捜しているとなると、それはそれでややこしいコトになりそうだ」 はぁ…とため息をつくイヨ。しかしすぐに切り替え、再び任務場所へと向かった。 彼と出逢うまであと少し。 |