通常コラボ小説 | ナノ


※永倉さまの『Complaints』の続きです。







いつもと同じ部屋で、いつもと同じ格好で、いつもと同じ変化があまりない表情で


部屋の奥に行ってしまったソラ。数歩歩けばすぐに届くのに、何故か鈴芽は異様に遠く感じていた。




『…………』


中で起きている鈴見でさえ黙る始末。
否、答えが出てるから黙っていた。
所詮自分は鈴芽から派生して生まれた人格で、こういうのは性に合わないし、何より結局は鈴芽と同じ答えだ。だから表に出ようとはしない。


「俺…俺等はさ、生きたがりだからソラが死んでも後追い自殺とかバカな真似はしねぇよ。そりゃおいて逝かれるのは辛いけど。……やっぱりよく解んないな。その時になってみないと。ソラがその"呪い"ってのでいつ死んでもおかしくないってのは聞いた時から解ってた。解ってる。でも、だからってソラを愛すことをやめるのは出来ねぇよ。俺等は」


そう言って、鈴芽はソラに近づいて彼女の固く握られている左手の拳を、華奢な体格に似合わない力で無理矢理開かせた。鈴芽の手に血が少しついたが気にしない。


「痛い」

「自分の手を抉るぐらい握ってた方が痛いだろ」


鈴芽は空いてる左手でソラの左手を持ち直すと、自分の右手に付着したソラの血を、舐めた。


「――――っ」


表情は変わらないが何処か鈴芽に不意をつかれた様な行動をされてソラは内心驚いている。が、鈴芽はそれを気にしないで話題を変えた。


「じゃあ次は俺の番か…弱音…これ弱音って言っていいのかよく解んねぇけど…」

「言ってみてよ」

「じゃあ言う。俺、鈴見が生まれるぐらい不安定だからさ。ガキの頃に兄弟や家族や親戚みたいな奴等と、俺の身体滅茶苦茶にされたけど一応世話になった奴等、全員殺して逃げたから。つい最近だって、俺の後輩を殺してきた。それを鈴見じゃなくて俺自身がそれを楽しんでた。俺は元々人殺すの好きだから…いつかソラを殺そうと考えるかもしれない。それが怖い」


過去を思い出すだけでも気分が悪くなり、意識が薄れゆくのにそれを鈴芽は言葉にして話す。実際、今は足元がふらついて立っているのがやっとだった。ソラの左手を握っている手が、昔の出来事を拒む様に小さく震える。


「鈴芽…」

「悪い、変なこと言って」


表情は変わっていないが鈴芽は何かに耐える様な辛い声色で言った。





――――――――
シリアスおいしいよ。
おっおっおっ
おいしいよ!!





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