通常コラボ小説 | ナノ


※永倉さまのReflectionの続き!パス受け取ったぜ!






















あれから大体四時間ぐらいが経ち、時刻は夕方近くになっていた。

調子を少しだけ取り戻してさっそく三人でイヨのために菓子を作ったが肝心なことを忘れていた。
理由は解らないがあの後、イヨはろくにツバサとも話さずにすぐ帰ってしまったのだ。




「どうしましょうか…作ったのに」


再びアイの部屋に集まった三人。
その部屋でシドレは膝にため息をついた。


「またイヨさんが来た時に渡すか?」

「ですが…」

「あ、」

「「?」」


たまたま窓の外を眺めていたアイが何かを見つけ、シドレとワールは彼の方を向いてからアイの横に並んで外を見た。

そこには建物の入り口近くに紫色の髪をポニーテールにして束ね、中性的な顔の人物。その印象的な髪色と顔立ちの人物を三人はイヨの帰りによくこの人物が迎えに来ているのを何回か見たことがあった。


「確か、十闇さん?だっけ」

「ワール、アイ!早く行きましょう!」

「は?」

「イヨさんが今なにをしているか訊けるかもしれません!」



















「あ、あの!」

「?」


アイの部屋から全速力で走ってきたので息を切らしながらシドレが十闇に近づく。だが十闇はそのシドレの手が自分に触れそうになった時、後ろへ数歩下がった。そんな十闇にシドレはきょとんとして見る。


「君、男ダメなんでしょ?オレ、男だけど大丈夫なの?」

「えぇ!?」


シドレが驚きの声をあげると同時に後ろからワールとアイが追いついた。
にこっ、とどっちかって言うと女よりな顔で優しい笑みを見せる十闇に後から来た二人も顔には出さないが驚いた。


「やっぱり女に思われちゃうかーいつもの上着を着てくればまだ解りやすかったかな。で、何の用?」


種族上だいたいの用事は視えちゃったけどね。深く視てないから核心までは解らないから訊いとかないと。

にこにこした笑顔の裏で苦々しく考えていた十闇だがそんなことは知らないシドレは事の始まりの話を話始めた。






「なるほどね〜だからイヨあんなに沈んでたワケか。あ、ちなみにすぐ帰ったのは緊急で任務が入ったからだよ。でもさっき任務終わったからオレの能力で帰ってきたよ」

「じゃあなんで十闇さんはここにいるんだ?」

「ここの近くて買い物しようと思ってだよ。で、近くに寄ったから見に来たんだ。相変わらず大きいねーこの建物。さて、じゃあ三人共行こうか」

「え?」


「突撃!イヨの部屋〜ってね。それが一番手っ取り早いし、オレは買い物あるから一緒に行けないけど余計な人はいらないでしょ?」

「で、ですがあの…「大丈夫だって!はい行くよー!さーんにーいーち、ほい!」



シュッと風を斬る様な音を発てて、シドレ達はその場から十闇の移動の能力により半ば強制的にイヨの部屋へと行ってしまった。
その、シドレ達がいた場所を見てからちらっと誰かを捜す様に建物を一瞥してから十闇は後ろを向くと買い物へと向かった。


人混みは色んな人の中の声が聴こえちゃうし視えちゃうから苦手だな〜隣にイヨみたいな落ち着いた心の人がいればまだいいけど…一人で買い物はヤだよー

まぁなんとか三人をアッチに連れてけたしいいか。







「うわっ!」

「きゃっ!」

「っつ!」


かなり乱暴に移動させられたせいか、三人は一瞬だけバランスを崩した。が、転びはせず受身をとる


「ここがイヨさんの部屋…イヨさんの匂いがいっぱい」

「シドレ」

「はっ!解ってます。私はちゃんと謝るんです!」

「でも、イヨさん居ないぞ?」


アイの言う通り、本棚が多い以外は女性の部屋にしては殺風景な、しかしあたたかみのある部屋にイヨはいない。いたら今頃話をしていただろう。


「誰だ!」


と思っていた矢先にバンッと別な部屋の扉が開き銃を持ったイヨが現れた。…何故かバスタオル一枚で。


「イ、イヨさん?」

「…シドレ達か。十闇とでも遇ったのか?」

「は、はい…」

「どうしたお前等、呆けた顔をして…あ、少し待っててくれ。あと適当にソファーにでも座っててくれないか?」


そして扉を閉じてまたイヨは服を着に洗面所へと戻った。
その大したことがなかったかの様に振る舞うイヨに暫くの間三人は口を開けていた。




「よし、っと…驚いたぞ。たまたま十闇に遇ったにしても無理矢理つれてこられたのか?」

「えぇ、まぁそんな感じです」


いつもの服に着替えたイヨがソファーの前にあるテーブルに人数分のカップを置き、それに紅茶を注ぎながら言う。以前、三人は緊張した様子だった。

そして紅茶を入れ終わると、三人が座っている長ソファーの向かえにある同じ種類のソファーに座った。


任務帰りのせいか深く座るイヨ。ついにシドレは意を決す。
2

「イヨさん!あの…先程は…申し訳ありませんでした!言葉じゃ表面上だけのことだと思われるかもしれませんが、私は…っ」

「シドレだけじゃない」

「俺達もです!」

「すまなかった」


………………。


……………………………?


一人多かったような…


不思議そうに三人が前を向くと申し訳なさそうにしているイヨがいた。


「私も悪かったと言っているんだ。任務疲れと寝起きだという理由であんなにやってしまうとは…大人げないし、下手したらお前達に怪我をさせてしまったかもしれない。あ、怪我!ワール大丈夫か!?…私のせいで…!」

「いや俺が悪いし…!ってか握ってる!」

「す、すまない…シドレやアイは大丈夫か?」

「俺等は別に怪我はないです」

「そうか…いや、でも…ツバサによってワールの腕が傷ついた時、私の思い込みかもしれないがお前等はとても辛そうな顔をしていた。大切なモノを傷つけられた様な感じ。私も大切なモノを傷つけられたら辛いからな…」


俯きながらもずっと考えていた自分の予想を一気に話したイヨ。それは見事に当たっていた。その彼女の手は自然とネクタイ代わりに使っている赤い帯を触っていた。


「つまり、私があんなことやってしまったから事を荒立て大きくさせてしまったんだ。だから私も悪い。すまなかった」







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テーマ「人外ファンタジー」
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