通常コラボ小説 | ナノ


ソラは任務が終わり、その帰り道、休憩がてら人がが全くいない広場のベンチに座っていた。理由はなんとなく


「隣、良いですか?」

「?」


それからソラがベンチに座って暫くしてから突然聞こえる声。いきなり現れた気配に一瞬緊張するが、顔を見上げると長い茶髪に白いワンピースを着ている女性がいた。


「イ…」

「い?」

「いや、なんでもないです。どうぞ」

「そう?ありがとう」


一瞬イヨさんかと思った。

小さく微笑みながら座る彼女を横でチラッと見ながらソラは胸の中で呟く。
でもイヨの髪色はこの人より薄いしまとっている雰囲気も全然違う。この人の方がどこか親しみやすそうだった。



「ん?もしかして…私の顔になにかついてる?」

「あ、いや、なにも」


そんなことを考えていたら女の人と目があってしまうソラ。女の人はソラの返事に「良かった〜なにもついてなくて!」と明るい声で言った。


「ね、あなたはどうしてここにいるのかしら?待ち合わせ?」

「仕事の帰り…でしょうか」


突然話しかけてきた女の人に若干戸惑いながらも何の仕事とはバレない様に曖昧にソラが応え、彼女はそれを驚いた様に目を丸くした。


「へぇ〜その歳で仕事やってるなんて凄いわね!高校生ぐらいかしら?凄い凄い!私はね、人を待ってるの」

「人?」

「うん。私の大切な人の彼女さんかな。仲良くしたいなーって思ってね」

「大切な人の彼女なのに仲良くしたいなって?」

「大切にも色々あるでしょう?それにしても今日は天気が良いわね。暖かい、気持ち良いわ」


彼女の言葉に反応する様に風がそよいだ。目を丸くしたかと思えば落ち着いた声色で目を瞑りながら心地よさそうに話す白いワンピースの女の人。白いワンピースは街中でも浮くぐらい目立つ。なのに彼女はそれを着こなしている。周りに馴染ませていた。

雰囲気からして異能やら能力やらは持っていなさそうだけど不思議な人だなとまたソラは胸の中で呟くと女の人が話しかけてきた。


「しっかし私があなたぐらいの歳の時は何してたかしら…ってやだ、おばちゃんみたいね。高校生あたりって青春時代ってヤツでしょ?恋したり楽しいこといっぱいある。」

「………………」


やっぱり、普通の人は世界の裏側を知らないで過ごしてたりしてるんだな。と考えながらソラは女の人の言葉をどこか上の空で聞いていた。


「だけどそんな時代を過ごせない人達だってたくさんいる。私はそんな子達をたくさん見てきたから」

「え…?」


ボソッと呟いた女の人につい訊き返してしまったソラ。でも女の人はにこっと人を安心させるような笑みを見せると茶髪を靡かせてベンチから立ち上がる。



「あなたはどうかしら?もしあなたが普通の人とは違う世界で過ごしていたとしても、それはあなたにとって当たり前の日常であり世界。誰も否定は出来ないわ。そして、勝手だけど私はその世界であなたはあなたらしく生きてほしいな。」

「…あなたはなに?それにあなたは今、人を待っているんじゃないの?」


ソラもベンチから立ち上がり、少し強めの口調で彼女を見つめながら言うも、女の人は何も動じない。こんな状況に馴れている様だった。それともとても天然なのか


「人ね、もう来てたわ。あなたよ」

「は?」






「ソラちゃん。―――をよろしくね」



女の人が何かを言う。でも風が強くて肝心のところが聞き取れなかった。
だから聞き返そうとしたが、いつの間に消えたのか目の前にいた女の人はいなかった。


まるで最初からいなかったかの様に、足跡も気配も残り香もなかった。






―――――――

ちょっと気になってクレアがソラちゃんにちょっかいかけに来た話




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