「鈴見、なんか落ちたよ」 「あ?…あー」 立ち上がった鈴見の作業着のポケットから掌サイズの小さな箱が落ちてソラがそれを拾う。だが、まだ鈴見には渡していない。 「なにこれ」 「カラーコンタクト」 「なんのための?」 「鈴芽になるための」 「は?」 訊き返したソラに鈴見は面倒くさそうに開けてみろと言った。ソラが開くとそこには緑色のカラーコンタクトが二枚入っていた。それを見たことによってソラはなんとなく悟ることが出来た。 「なるほどね」 「そ、鈴芽が出れねぇ時はわざわざ俺が鈴芽のフリしてやってんだ」 「出れない時?」 「色々あるが…徹夜しまくりでブッ倒れそうになったとか精神的にとか」 「へぇ、そんな細かいこと鈴見に出来るんだー」 「…それ、微塵も思ってねぇ奴の言い方だな。カラコン返せ」 「まぁね。はい返してあげる」 カラーコンタクトが入った箱をソラから返してもらうと鈴見はすぐ服のポケットにしまい、欠伸をする。 「眠いの?鈴見は表にあまり出られないんだったよね」 「とりあえず精神体だからな。体はあくまで主人格の鈴芽のだし。今日は1日中表にいる。昨日の仕事のせいでアイツ疲れちまってるから」 「そっか…本当に鈴芽のフリ出来るの?出来るなら襲わせろよ。カラコンつけなくて良いからさ」 「フザけんな。それとコレとは別だっつの。ソラも外見ばっかに惑わされンなよ?俺等は目の色が変わるから判りやすいが中には変わらない奴だっているしな」 「はーい。鈴見のいる組織ってよく寝る人多いね」 「そうか?…つかやっばりその返事、俺の言いたいこと全然聞いてねぇだろ」 「なんのことやら」 ―――――――――― まずここはどこなのでしょうね。 鈴芽は中で爆睡中です |