通常コラボ小説 | ナノ










久々にイヨは故郷と言っても過言でもない昔自分が所属していた組織…タナトスに顔を出していた。








「最近イヨも色づいてきましたねぇ」

「は?」


そして久々に逢ったアゲハと何も他愛のない雑談しながら菓子を食べながら紅茶を飲んでいる時、突然アゲハが言った言葉にイヨは今まさに飲もうとしていた紅茶が入ったカップを持つ手が止まる。


「女の子らしくなったということですよ」

「そうか?」

「はい、言動は相変わらずですが何処か…言葉では説明しにくいですね」

「長生きしているアゲハでも言葉にしずらいモノがあるんだな」


そう言って、イヨはカップを持ちなおして紅茶を飲む。


「それはそうですよ〜長生きしててもなんとやらですね。とにかく、最近変わった出来事などあったんですか?」


にこりと左目を長い前髪で隠し、十闇並みの女顔で笑みを見せるアゲハだがその心中は掴めない。昔からそうだな…つか性別事態イマイチ解らない。とイヨは心の中で呟き今度は最近変わったことを頭の中で考え、それが頭でまとまった瞬間、恥ずかしい様なしかし嬉しい様な言いずらい出来事が思い浮かんだ。そしてそれはすぐ顔に出る。


「言いたくなければ別に良いですよ?」


そう言いつつも少し顔を赤らめたイヨを見てクスクス笑いながら期待するアゲハ。それからイヨはクッキーを食べてから紅茶を一口飲んで心を落ち着かせてから口を開いた。


「いや、アゲハは子供の時から世話になってるし…言う。でもあまり詳しいコトは言えないが…その…こ、恋人が出来た。か、彼氏というヤツだな」

「まぁ!それはそれは」


あのアゲハも本当に驚いた様で前髪で隠れていない右目を大きく見開きながら拍手をする様に両手をあわせた。


「どんな御方ですか?十闇…ではないでしょう?」

「十闇ではない。なぜ皆最初は十闇のコトを聞くんだ?viceの奴等だってそうだったし…」

「それは自分でお考えなさい。まぁ私は貴女と十闇はそういう糸では繋がらない、もっと別な糸で繋がっていると思っていますがね」

「??そうか…」

「で、話を戻しますと…その御方とは一体どのような方で?」


アゲハの問いに、イヨは人差し指を唇に添えながら考える。そしてまた暫くしてから口を開いた。


「…メッシュ」

「いや外見的特徴ではなくて中身のことを訊いているんですよ」


「中身か?ならよく解らない。
解らないんだ。アイツが何を考えているかも、何を抱えているのかも、解らない。私はアイツのコトを何も知らない。でもそれはアイツだって同じなんだ。私のコトを知らない。私が今何を考えているかは解るかも知れないが、私の『本当』をアイツは知らない」

「不思議な関係ですねぇ…」

「でも一緒にいると楽しいし、嬉しいし、落ち着く。喧嘩すると悲しいし、離れると寂しい。たまに意地悪だから撃ちたくなるけど、アイツは私の中で触られても良い奴なんだ」


最後に照れくさそうに微笑を浮かべて答えるイヨにアゲハはまた片目をぱちくりさせた。

…成る程、


「触られても良い奴、ですか…ふふっ」

「な、何だ!可笑しいのか?」

「いえいえ、嬉しいのですよ。
貴女が顔を赤らめながらそこまで言う御方です。なら余計な心配は要りませんね」

「心配なんぞハナから要らない。…そう言えばアゲハも長生きだな、何回も訊いてるが何歳なんだ?」

「『も』?その御方も長生きなのですか?…そうですねぇ何歳でしたっけ。何回も言ってますが忘れました」


アゲハの答えにつまらないなと言ったイヨはまたクッキーを食べ始める。
そして今度はアゲハから口を開いてきた。


「イヨ、私達の世界はいつ何時死んでもおかしくありません。日々を悔いのない様に過ごすのですよ。その御方とも。特に貴女は――」

「それ以上は言うな。大丈夫、解っているから。さて、紲那は守羽の特訓にでも付き合ってるのかな?交ぜてもらおうか。菓子と紅茶、御馳走様」

「いえいえ」



パタンと閉じる扉、それからアゲハはクスッと小さく笑った。


「本当に、色づきましたねぇ…そして儚い」


しかしこの言葉、普段のイヨからは想像出来ない言葉ですね…取り消しましょうか。とテーブルに置いていた本を読みながら愉快そうに心の中で呟いた。





――――――――

ツバサくんの前では言えないイヨの本音(ようするにデレ)を書きたいなーと思ったら相手にアゲハが思い浮かびましたのでアゲハ登場。
アゲハは何考えてるか解らない
私もイマイチ解らない←
でもイヨにとってアゲハは昔からの付き合いなので相談しやすい人なのは確か。




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