※永倉さまの『Attach case』の続きです。毎度恒例毎度お馴染み勝手に続きです。 ※日暗視点 いやーさっきは危なかったな〜 突然、可愛い子が現れてあの場所で一時間過ぎそうになった。それは嫌だ。能力を発動させるのは良いが能力を解除するところは信用ある奴…ラグナとかイザヨイとかにしか見せたくない。解るだろ?秘密事項ってやつ。いつ何処にどんな奴が居るか解らない。しかもこの組織、裏の組織の中でも色々と黒っぽいし、きっとたまにスパイとかも入ってくるんだろうな。そのせいかいや、当たり前か。監視カメラっつー厄介なモノもあるから余計にだ。保存なんかされたら業火の能力で文字通り跡形も無く消すしかない。 更に運が悪いことに能力が解除される5分と40秒前、慣れないことをしたせいか、先に少しだけ反動が身体にきて身体が動かなくなった。目も開けれないし口も聞けない状態。こんな状態になるの何十年ぶりだろ すると三人は医務室的なところに運んでくれた。 更にきっとこの性転換しちまった俺とその周りを監視カメラ越しに愉快そうに見ていたであろうツバサが現れた。ついでに周りのカーテンも閉めてくれた。 残り3分と22秒。やっと身体が動ける様になって目を開けると医務室っぽい天井。ベッドの横にはカーテンを背にしてツバサが立ってる。相変わらず読めねぇなーコイツは。いや、そんなもんか 読唇術とか使えたりするかな?イヨが前言ってた様な…まぁ長生きしてるから使えるだろ とりあえず、口パクで『サンキュー』って言ってみた。すると小さくアイツは首を横に振った。通じたみたいだから俺は話を勝手に続ける。 『とりあえず、帰るまでは能力維持させるから。』 『また今度、きちんとお礼言いにくるな。』 『あ、今の俺、イヨがおてんばになったみたいだろ?』 俺が告げること全部告げ終わったら、ツバサは「くくくくっ」って笑いながらカーテンを少し開けてまた閉めるとワールくん達に「起きてるよ」だけ言って帰った。ちょっと最後の言葉余計… ツバサが去って、ワールくん達はただ黙ってカーテン越しにこっちを見ている。 ―――さてと、 「よいしょっと。いやいや心配かけて悪いな〜」 ツバサが去ってからカーテンを開けて俺、復活! すぐさまシドレちゃんが抱き着いてきた。 柔らかい匂いに少し落ち着く。 「大丈夫ですか!?」 「おう!ちょっとバテただけ」 「大事に至らなくてよかったです…あ、師匠!今、ツバサさんとは一体何が…!?何があったんですか!詳しく教えてください!」 シドレちゃんの目が輝いてる。可愛い。 その隣でワールくんは呆れ顔、もう一人の女の子と目が合うと笑顔で「よかったです〜」って言ってくれた。そーいやさっき俺の身体の力が抜けた時、この子は睡眠ではない的なこと言ってたな。鋭い。 「ツバサとかー?」 「はい!」 「…本当、ツバサもやりやがるよな。イヨという世界で一番素敵な存在がいるのに」 「えっ」 「なーんてウッソー!!」 「一瞬本当かと思いましたよ!」 「俺の演技力ナメんなよ?」 いやー若い子からかうの楽しい。ちょっと恥ずかしがる女の子ってこんな感じかな〜って思いながら下を向いて照れた様な表情と声色で言ったら驚いてさぁ。若い子のリアクションとかな?面白い。自分で言っちゃアレだが悪意は無いんだぜ?でも楽しいんだなコレが。 「悪趣味だな」 「ワールくんひどい。あ、さっきはありがとう。何かお礼ばっかり言ってるな」 シドレちゃんが絡んだワールくんってどことなく俺とイヨのやりとりに似てるんだよな〜。 ―――――本当、この組織は色とりどり、個性豊か、面白ぇ。だからやったコトねぇ性転換とかやりたくなったんだよな。 「そう言えば師匠。時間は大丈夫なんですか?」 そんな私情を挟んで考え事をしてたらシドレちゃんの声で現実に引き戻された。 「あー2分切ったな…。これ、イヨの忘れ物か?えっと…」 「ミントです!」 「ありがと、ミントちゃんっ」 ミントちゃんな、よし覚えた。 イヨの荷物を受け取ってから俺の言葉にミントちゃんは「いえいえ〜」とまた笑顔で返事を返してくれた。 「じゃあ俺もう帰るな!」 「能力は解除しねぇのか?」 「それはトップシークレット、な。見送りはここで良いぜ。俺に着いてこれるなら玄関まで来ても良いけど」 ちょっと俺の能力が気になってるワールくんに釘をさして喋りながら俺は来客用医務室の扉のところで振り返る。三人共いまいち俺の言葉の意味が解ってないみたいだ 「先に言っとくけど俺は瞬間とか空間転移系の能力は持ってないからな。ほいじゃ、またな!」 「??はい師匠って…あれ?」 「いねぇ…」 「消えましたね!」 1分後、組織の建物から数100メートル離れた建物の屋上 「――――――、ふぅ!元に戻った!やっぱり慣れてる身体じゃねぇとな」 性転換してきっかり一時間後。体格も髪の長さも服装も元に戻った。首にかけていたヘッドフォンを装着する。 あの場所から急いで走ってここまで来たけどやっぱり危なかったかな。 にしても疲れたな…疲れ過ぎて腹も減らない。やっぱり身体を細胞レベルで大きく弄るのはあまり良くないってことが解った。今回試して正解だ。 いや、楽しかったから疲れたって言葉は禁句だな。シドレちゃん触って来てくれたし、ワールくんからかえたし、新しい子にも出逢えたし。 とにかく今日はさっさと宿帰って寝よ。 イヨの忘れ物は明日で良いか。ツバサへの礼も明日。それまで寝て回復しねぇと あーラグナとイザヨイになんて言い訳しようかな…。 二人の怒った様な、どこか心配した様な顔が頭に思い浮かんだ。はぁ… そして俺は、溜め息をついてから身体が完全に『戻った』のを確認すると立ち上がって眠てぇ瞼を擦りながらアイツ等がいる宿に帰った。 ―――――――― 長いうえにくだぐだ… 兄貴の能力は便利故に大変なんです。 |