時刻は夕暮れ、風1つ吹いていない少し蒸し暑い中、ルイトは任務帰りで今まさに組織の建物入ろうとしていた。 「――――――?」 が、風なんか吹いていないのにシュッという風を斬る様な音がし、後ろを振り向く。 そこにはこんな蒸し暑いのに黒いロングコートに薄手の手袋を着けている女よりの顔の男がいた。 その男はルイトと目が合うとにこっと微笑んでルイトに近づく。 「君、確か…どこかで逢ったっけ?」 「えっと…」 じぃっと見てくる顔も声も中性的な男の行動にルイトは驚くも内心「どこかで見たことあるな」と胸の中で呟いた。 「やっぱり見たことあるよねー!オレ、十闇って言うんだ!よろしく!イヨと同じ組織にいます。」 十闇と名乗った人物はまるでルイトの心の声が聞こえたかの様に軽く自己紹介 「俺はルイト…で、ソラは知ってるよな?ソラと同じ組織にいます」 「ソラちゃんは知ってるよ。鈴芽の彼女サンだからね」 「何か用か?」 ルイトが耳に着けているイヤホンを直しながら訊くと、一瞬だけ十闇は不思議そうにそれを見たが、また笑顔で返事を返す。 「任務帰りがてらイヨを迎えに来たんだよ。今日は夕方頃にはここから出たいって言ってたからね。ついでに」 「なら中で待ってたら良いんじゃないか?俺が中にいる奴らに説明すれば…」 「いや、中には入りたくないな。色々と聴こえるから」 組織の建物を見上げながら十闇は言う。 「聴こえる?」 「…ルイトくん、耳良かったりしない?そういう能力だったりとか」 「……まぁ…十闇もか?」 ほぼ初対面の十闇に見事自分の能力を当てられ、ルイトは内心驚いていた。 「オレは人の中の声が聴こえちゃうんだなー。だからイヤホンしても意味ないし…しかも範囲が広いからあの建物の中入っちゃうと聴きたくないのに色々聴こえちゃう。 そしたらオレも気まずいし、そっちにも聴かれちゃマズイことってあるでしょ?だからだよ」 「確かに…ウチの組織は色々と聴かれちゃマズイことあるからな。」 「プライバシーもあるしねぇ?それにもしツバサとイヨの声が聴こえたら…あー想像したくない。ショックで死んじゃいそう」 「え?もしかして…」 「なんでもないよーそれ以上言わないで!あ、イヨ来た!」 タタッと建物から出てきたイヨに近づいて何か会話を交わす。 そして十闇はルイトの方を振り向いた。 「じゃあねルイトー!またお話しようねー!ソラちゃんって唯我独尊系だけど良い子だから!お互い頑張ろうねっ」 最後にまた風を斬る様な音を出し移動して、イヨと共に基地へと戻った。 もしかして、十闇はイヨさんのこと…いやそれ以上は何も考え無いでおこう 考えちゃだめな気がする。 ―――――――― オチなんてないよ! オチナンテナイヨ! 十闇は自分のためと相手のために絶対ツバサくんの組織の建物には入らないです。 |