※永倉さまのTime of awakingの続きです! 彼に起こされた。 おはようって、不思議な比喩を使われて起こされた。正しくは隠喩だが。それはもうパッチリと目が覚めてしまって酔った私は一体何してたんだ…と自分自身に渇を入れたい気分になった。 今、彼はグラスに酒を注いでる。 なんだろう…変な違和感がある、同時に何故か怖い。怖くて動けない。さっきのいつもの笑みが怖い、頭から離れない。 彼に気づかれない様につまった息を整える。小さく、ゆっくりと 彼は、私の情報が欲しいって言った。私…?私が中東出身で親が死んでからタナトスに拾われ、viceに入ったことをまた説明すればいいのか?違う、もっと深いところをアイツは知りたがっている。でも、私はここにいない、いや、いる。ちゃんとここにいる。私は…彼は私は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は私は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は私は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は私は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は私は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は彼は私は… …また記憶がぐちゃぐちゃになった。いや、現在進行形でなっているだな。 手が震えて持っていたフォークがカタン、と音をたてて床に落ちた。 「…すまない、酔っていた…」 力が入らなくて、ソファに背をつけたままアイツに返事を返した。 「目が覚めたみたいだね。」 「あぁ、目が覚めたよ。 お前は、私の情報が欲しいって言ってたよな?すまないが無理な相談だ。」 まだ少し酒の効果があるのか、ぐわんぐわんと揺れる様な頭の痛みを手で抑えながらきっぱりと断った。隣をちらっと横目で見るといつもの彼がいた。アイツも酒に強いのか…?アイツは、なんで… きっと十闇がここにいたら、私を落ち着かせてくれるだろう。理由を訊かないで「大丈夫だよ」ってアイツとは違う笑顔で言って。でも今彼はいないし、呼んではいけないよな…まだ記憶がぐちゃぐちゃだ。 そしてそのまま起き上がって、彼と微妙な距離を空けてソファに座り直した。 ――――どうするの? オレが心配そうな声で話しかけてくる。 でもそれを私は無視した。 「じゃあ、今度は私の願い事を言ってみようかな。」 頭がぐちゃぐちゃになっている中で私はなんとか話を代えた。 でも勘が良ければ直ぐにでも、貴方が求めている答えが少しだけど解るよ。 リィンがダメだダメだと中で言う。 ―――今、彼を忘れかけているコトを言ったらダメだよ。イヨが傷つくよ。もしかしたら、アイツも傷つくよ。だから… でもまだ忘れていない。 そう彼女に言って私はそれ以外の言葉を無視した。 「なに?」 「私は最近忘れるコトが多いんだ。 だから今、貴方のコトを思いだせるモノが欲しい。」 『貴方』とイヨは他人行儀な一人称を使ってツバサの顔を見ずに何処か矛盾している様な、少し理解に時間が掛かる言葉を言う。 そして彼が不思議そうにイヨの方を見た。 「…なんてな、お前のコトを忘れる筈が無いだろう。欲しいモノなんて無いよ。」 我儘を言えば苺のショートケーキが食べたいな。美味しくて、酒が入っていないヤツ。と付け足してツバサの方を見ずに、イヨはいつもの声色で言う。 髪に隠れてツバサからは見えないが彼女の頬には涙が一筋流れていた。それを彼女はさりげなく拭おうとする。 (何故貴方がそんな笑みを浮かべられるのか、何故貴方は咳き込むのか、貴方は一体何なのか。知りたいことはたくさんある。でも…貴方が教えてくれるまで求めないよ。 私も貴方に言えないことはたくさんあるから。) 胸の中で、彼女は彼に向けて呟いた。 ―――――――――― やんわりときっぱりとイヨは断りま、した…? イヨは自分から何かを求めません。 本編のオレと彼女とのやりとりの様に、実はすごい謙虚なんです。自分より他人のコトを考えちゃいます。 求めるとしたらケーキぐらいです。← 私もちょっとこの二人の距離が近くなることを願うけどこの関係でいてほしい………っ!!(((( 矛盾してますね。 |